それでも「ヒートに勝たなきゃいけないのは僕やジャマールじゃない」
ナゲッツはヒートとのNBAファイナル第3戦を制し、通算成績を2勝1敗とした。ニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーがいずれも30得点超えのトリプル・ダブルを記録。ヒートがやれる限りの対策を打ったにもかかわらず、このデュオは2人でフィールドゴール43本中24本を決め、20アシストを記録し、ナゲッツの109得点のうち66得点を奪った。
ヨキッチは試合後、マレーの出来について問われて「本当によくゲームを読んでいる。僕らは彼についていけばいいと思って、実際にそうしている」と語り、ヨキッチについて問われたマレーは「うーん……もう言うべきことがなくなってきた」と笑顔を見せた。
それでもマレーはこう続ける。「ニコラは、その時その時のゲームクロックと点差に加えて、僕がどんなテンションでプレーしているのかも頭に入れてプレーしている。僕も彼がパスを狙っているのか得点を狙っているのか、最高にノッているのかややリズムに乗れていないのかは分かっている。その感覚は信頼できる」
ヨキッチのフィールドゴール成功12回のうち、マレーのアシストによるものは7回。逆にマレーのフィールドゴール成功をヨキッチがアシストしたのは4回。2人のピック&ロールとヨキッチのポストムーブは無限のオフェンスパターンを生み出し、相手ディフェンスの狙いをかわして自分たちの得意な形のシュートチャンスを作り出す。
マレーは相手ディフェンスをどう崩すかを「パズルを解くみたいで楽しい」と表現する。そしてヨキッチはこう語る。「僕らのプレーにどう対応するかは選手によって異なる。ある選手はこういう反応をするけど、違う選手は別の反応をする。それを見ながら自分たちのプレーを変えていくのは面白いね。今回だとヒートが何度か僕らにブリッツを仕掛けてボールを奪ったけど、僕らもそれに対処していく。頭を使い、信頼の問われるゲームだ」
それでも、ヨキッチはNBAに来て8年が経過しても、個人のパフォーマンスをクローズアップし、スタッツを重視するアメリカのスタイルに馴染めないでいる。「みんな僕のスタッツを話題にするけど、僕は個人のスタッツもチームバスケの結果だと思っている。ヨーロッパではチームで勝ったことが重視される。ここでも勝利は大事だけど、スタッツについて語られることがすごく多いと感じているよ」と彼は言う。
「ナゲッツの強さは僕らが互いをリスペクトし、長年の関係性とコミュニケーションがあることで成り立っていると思う。今日活躍したのは僕とジャマールだけじゃない。クリスチャン(ブラウン)もブルース(ブラウン)もジェフ(グリーン)も良いプレーをしたよね。だから僕たちじゃなくチームが主語なんだ。このシリーズでヒートに勝たなきゃいけないのは僕やジャマールじゃない。チームとしてヒートに勝つ必要がある」