ドワイト・ハワード

スタイル的にはフィットしなくても、強さと高さの足りないインサイドにハマる?

ドワイト・ハワードは2019-20シーズンにレイカーズに加わり、センターのバックアップとしてNBA優勝に貢献した。その時点で34歳。身体能力は衰え始めており、主力でバリバリ活躍するわけではなかったが、限られた時間でフィジカルの強さを生かしてハッスルし、レブロン・ジェームズやアンソニー・デイビスの負担を軽減する働きは貴重なものだった。

しかし、セブンティシクサーズを経てレイカーズに復帰した昨シーズンはインパクトを残せず、昨年オフに契約満了を迎えた後、どのチームからもオファーがなかった。

NBAのシーズンが開幕して間もなく、ハワードは台湾の桃園レパーズと契約。2004年のNBAドラフト全体1位、8度のオールスター、5度のNBAファーストチーム選出、3度の最優秀ディフェンス賞とNBAのトップスターだった彼の参入は、台湾のバスケを大いに盛り上げた。

それでも、彼が見据えるのはあくまでNBA復帰だ。サクラメントの『The OBSERVER』の取材に応じた彼は、「僕はまだNBAを引退したわけじゃない」と語り、キングスについて「マイク・ブラウンの下で選手たちが自分の役割を受け入れ、貫き通した。素晴らしいチームだし、キングスのタイトル争いに自分が力になれればいいと思う」と続けた。

キングスはディアロン・フォックスの驚異的なクラッチ力を武器に、オフェンスのチームとして快進撃を見せてプレーオフに進出するも、ファーストラウンドで『GAME7』の激闘の末にウォリアーズに敗れてシーズンを終えた。シリーズ中にフォックスが左手の人差し指を亀裂骨折し、強行出場を続けたがプレーに影響があったのは明らかで、このアクシデントが敗退の大きな要因となった。

それでももう一つの敗因はロスターの層の薄さで、インサイドにはドマンタス・サボニスという大黒柱はいるものの、それに続くのがトレイ・ライルズとアレックス・レンでは戦い方にバリエーションが出せず、その弱点をウォリアーズに突かれることになった。

オフボールでの連動を重視し、テンポを上げてオフェンスで打ち勝つスタイルのキングスに、古いタイプのセンターであるハワードはフィットしないだろう。ハワード自身も「キングスのロスターはもうほぼ決まっていると思うし、経験を積んでもっと良くなっていくだろう」とは語るが、ビッグマンの控えが足りないのは間違いなく、主力ではなくてもパートタイムのオプションとしては貴重な戦力になるかもしれない。

今のNBAではスモールバスケット全盛の揺り戻しで、ハワードのような古き良きタイプのセンターが再評価される部分もある。『バブル』のプレーオフでのハワードは、今のNBAで誰にも止められないナゲッツのニコラ・ヨキッチを、彼が激しく粘り強くマークして心身ともに疲弊させ、レイカーズの勝利へと繋げている。そういう働きのできる選手をベンチに一人置いておくことで、戦い方にはバリエーションが出てくる。

全盛期を過ぎてはいても、まだ戦えるプレーヤーであることをアジアの地でアピールしようとしているハワードの努力は実るのか。空白の1年を経て、彼が『NBA19シーズン目』を迎えられるかどうかに注目したい。