盟友山内とのマッチアップ「意識しないことは無理」
12月22日、琉球ゴールデンキングスはサンロッカーズ渋谷との連戦の初戦を77-71で制した。この試合、琉球の岸本隆一は3ポイントシュート5本中3本成功を含む13得点をマーク。その内の10得点を後半に挙げており、第4クォーター残り約3分にはリードを8点に広げる価値ある3ポイントシュートを決めている。
琉球の先発ポイントガードは並里成だが、この試合の第4クォーター終盤にコートに立ってチームを牽引していたのは岸本で、「今日は苦しい展開の中でも我慢してくれました」と佐々宜央ヘッドコーチが語るように、手堅いゲームメークでも勝利に貢献している。
「展開として我慢比べだったと思いますが、ディフェンスが崩れなかった。向こうのフローオフェンスに対して堅く守備をして、リバウンドもきちんと取るべく時に取れた。そこが勝ち負けに関しては大きかったです」
このように勝因を語る岸本だが、一方でオフェンスについては消化不良の面があったと続ける。「オフェンスは単調というのが今日のゲームでした。インサイドに預けたら預けっぱなし、ピック&ロールの時もそうで、片方に偏ってしまいました。チームとしての連動がスムーズにいかなかったのでそこは改善して、明日もっと良いゲームをしたいです」
サンロッカーズ渋谷は伊佐勉が指揮官を務め、さらに山内盛久と、琉球に長らく在籍していた岸本にとって馴染み深い人物がいる。「ムーさん(伊佐)が相手で、やりにくさはあります。自分のことを熟知していてディフェンスで自分が嫌な風についてこられていました。ただ、逆にムーさんがやりたいことも分かっているつもりなので、そこを生かしていこうと思いました」
伊佐についてはこう語ったあと、盟友である山内とのマッチアップについては「意識しないことは無理だと思っているので、試合前そういう風に気持ちをセットしました。終盤のところで、(山内が)フローターが決めた時、言ったらダメだと思いますが、シュートを外して欲しくて悔しさはありますが、一方で爽快さもありました。お互いにいいプレーを出し合いながらも、チームの勝ちにつなげられたと思います」と特別な思いを明かしてくれている。
「終盤コートにいるのが自分の一番のモチベーション」
昨シーズンまで不動の先発を務め、司令塔の軸であった岸本だが、今シーズンは並里、橋本竜馬と同じ司令塔に即戦力が2人加入したことで控えに回り、ここ一番の勝負どころでもベンチに下がっている試合もあるなど、プレータイムは安定していない。
これまでとは大きく変わった起用法について「綺麗な言い方かもしれないですけど、任されなかったことを受け入れ、次への成長に繋げようという思いです」とチームファーストの姿勢を強調する。ただ、「純粋に勝負どころを任されなかった試合では『次は俺がやってやる』という気持ち」と、勝負どころのクラッチタイムでプレーすることを重視する思いに変わりはない。
「今日みたいなシーソーゲームになった時、終盤コートにいるのが自分の一番のモチベーションです。今年のチームは表現できる選手が多い分、キャラ的にも自分は薄いかもしれないですが(笑)、顔に出さないようにしているだけでめちゃくちゃ終盤は燃えています。勝負どころでは自信を持って、自分が決めるという気持ちでいつもやっています」
ベンチスタートでも最も重要な場面でコートに立ちたいと意欲を示すことは、チームの底上げに直結するし、互いを高めあっていく意味でも重要な要素だ。並里がリズムに乗れない時は、岸本がカバーする。22日の試合は、そんな層の厚さを持つリーグ屈指のポイントガード陣の本領をしっかり発揮し、岸本が引き続きチームにおいて大事な存在であり続けていることをしっかりと証明した一戦となった。
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