「ここには優勝できる可能性があるんだからね」
セブンティシクサーズは新たなヘッドコーチとなったニック・ナースの就任会見を行った。アシスタントとヘッドコーチとして10年間に渡り在籍したラプターズを離れた彼は、優勝できるだけの戦力を擁しながら勝ちきれないチームを変えるために招聘された。
「ここに来ることができて興奮している。シクサーズのヘッドコーチになることを光栄に思っている」とナースは言う。ラプターズの指揮官を退任することは早い段階から決まっていた。当初はロケッツの指揮を執ることが有力と見られたが、彼が選んだのはシクサーズだった。ここでモノを言ったのはダリル・モーリー球団社長との関係だ。
「プレーオフで何度も対戦していたから良いチームなのは分かっていた。それから最も重要なのはダリルの存在で、彼はタイトルを狙えるロスターを常に作ってきた。だから私にとっては簡単な決断だった」
2011年、ロケッツ傘下のGリーグチーム、リオグランデ・ヴァイパーズのヘッドコーチにナースを抜擢したのが、当時ロケッツの球団社長だったモーリーだ。ナースはモーリーと付き合い始めた時期をこう振り返る。
「アイオワ・エナジーのコーチをしていた私にダリルがオファーをくれた。話をしてみたら革新的なアイデアがポンポン飛び出して、すぐに夢中になったよ。彼は新しいチャレンジをどんどんやれと背中を押してくれた。多くのアイデアを試し、上手くいけばそれを自分の引き出しにしまっておく。私にとってはコーチとして成長できるチャンスだった」
会見に同席したモーリーはこれを補足する。「当時の我々がやっていたことが、今このチームに必要なんだ。戦術的なこともチーム作りのことも、サラリーキャップも含め同じルールの下で全チームが戦う中で、抜きん出た存在になるには創造的なバスケットボールマインドを持つ相棒が必要だ。優れたコーチは普通は気付けない点に注目し、選手の新たな価値を解き放つ」
ナースは新天地でのチーム作りについてこう語る。「シクサーズの研究はたくさんやった。チームの良い部分はすべて維持するつもりだ。そして改善できそうな部分を切り出して成長させていく。その作業は今日から始めて、来年の5月や6月に向けて多くのことを試し、成長させ、必要があれば変えていく」
選手への要求が高いことで知られるナースは、ジョエル・エンビードのようなスター選手と良い関係を築けるのだろうか? 地元メディアからの質問に対し、ナースは「彼は本当の意味で競争し、偉大な選手になり、勝ちたいと願っている。それは選手とコーチの共同作業だ。私の思いは『一緒にやろうじゃないか』だよ」と答えている。
「ジョエルはディフェンスに優れ、オフェンスでもスキルが高い。シーズンが始まってお互いに学び合うようになれば、その能力を最大限に発揮するにはどうすればいいかを考えていくことになる」
そして今オフにフリーエージェントとなるジェームズ・ハーデンについては「彼がこのチームに戻ってくれたらうれしい」とコメント。「近々、ここですべての選手と一人ずつ顔と顔を合わせて話をする。私は勝つということを伝えるつもりだ。彼も勝つために力を発揮したいと思っているはずで、もしそうならここに残ってプレーすべきだ。ここには優勝できる可能性があるんだからね」