2004年にレッドソックスが成し遂げた0勝3敗からの逆転劇の再現を狙う
セルティックスは0勝3敗で迎えたヒートとの第4戦で復活のパフォーマンスを見せ、最終スコア116-99で『1勝』を挙げた。
0勝3敗になって初めて、セルティックスの選手たちは腹をくくった。ジェイレン・ブラウンは言う。「昨日はチーム全員で集まって話し合った。0勝3敗と追い詰められればチームはバラバラになってもおかしくないけど、僕らは一致団結して崩れないようにとね。今日の試合で僕らがバラバラになることはなかった。ここ数試合は何もかもが上手くいかなかったけど、だからこそ今は僕たちがどんなチームかを示したかった。僕らに1勝させちゃいけない」
初戦に敗れた際、マーカス・スマートは敗因について「僕たち自身が小さなことをやるのに飽きてしまった」と語っていた。崖っぷちからようやく連敗を止めた試合後、スマートは「今日は小さなことを何度も何度も繰り返し続けられた」と言い、この日のパフォーマンスを続けていくカギについてこう語った。
「良い時も悪い時もお互いを信じ続けること。僕らが絶対にやり続けなければいけないのはそれだ。仲間を信じ、正しい方法でプレーし続ける。今日はとても良い気分だ。僕らに1勝させちゃいけない」
僕らに1勝させちゃいけない──。ブラウンとスマートが同じ言葉を発したことに気付いた記者から「それはケビン・ミラーの言葉?」と問われたスマートは、満面に笑みを浮かべて「そうさ」と答えた。
合言葉は「Don’t let us get one」、僕らに1勝させちゃいけない。「1勝すれば流れは変わる」というニュアンスだが、ボストンの人々にとってこの言葉は特別な意味がある。0勝3敗から逆転でシリーズを制した例はNBAにはないが、MLBにはある。2004年、レッドソックスがヤンキース相手に3連敗の後に4連勝したリーグチャンピオンシップシリーズは、ボストンの人々にとって今も鮮明な記憶として残っている。
レッドソックスが3連敗を喫して絶望的な状況だったにもかかわらず、主砲のケビン・ミラーは「僕らに1勝させちゃいけない」と語った。第4戦はビハインドから延長に持ち込んで逆転勝ち。その1勝で流れが変わり、MLBのポストシーズンが7試合で行われるようになって初めて0勝3敗からの逆転劇に至った。レッドソックスの勢いはワールドシリーズでも止まらず、カージナルス相手に4連勝で優勝を決めている。
0勝3敗になったら終わり。NBAではそれが常識かもしれないが、セルティックスの選手たちは違う未来があると信じている。ジェイソン・テイタムは言う。「最初の3試合は勝利に値するプレーができなかったけど、それで自分たちやシーズンがダメだと決めたくはなかった。今日は良いスタートが切れた。この勢いを次の試合にも繋げるんだ」