スクート・ヘンダーソン

ドラフトまで1カ月「やっとこの時が来た、と思っているよ」

1カ月後に行われるNBAドラフトでは、フランスの新鋭ビクター・ウェンバニャマの全体1位指名が確実視される。レブロン・ジェームズ以来のタレントと呼ばれる『宝石』の指名権を得たのはスパーズだ。それに続くタレントと見られているのがスクート・ヘンダーソンだ。爆発的な運動能力と得点力を備えたガードで、そのプレースタイルはジョン・ウォールやラッセル・ウェストブルックとよく比較される。

1巡目2位指名権はホーネッツが、3位指名権はトレイルブレイザーズが持っている。ヘンダーソンは、ラメロ・ボールとバックコートコンビを組んでプレーするか、デイミアン・リラードと一緒にプレーするか、あるいはブレイザーズは指名権をトレードするとの噂もある。

ドラフトコンバインに参加した彼はメディア取材に応じ、サプライズでの1位指名について「可能性はあるよね。プレーヤーなら誰でもそうであるように、僕も自分の可能性を信じているよ」と語り、こう続ける。

「ラメロを始めホーネッツのプレースタイルに自分は合うと思う。僕が特別なのはオンボールでもオフボールでもプレーできるところで、ボールを持たなくてもインパクトを与えられる。デイム(リラード)のことも僕は好きなんだ。神様が僕を置いた場所でプレーするつもりだよ」

スパーズでもホーネッツでもブレイザーズでも、また別のどこかでも、ヘンダーソンは良いプレーを見せ、チームを代表する選手になることだけを考えている。「僕は誰とでもプレーできる。いろんな形でゲームに影響を与えられる。そして、どこへ行っても勝つつもりだ。そのメンタリティを自分の中で育てていくんだ」

ウェンバニャマの存在は気にしない。「ドラフトの結果がどうなろうが、僕は自分自身に集中してNo.1を目指す。それが勝利のメンタリティだと思っている」と彼は言う。それと同時に「Gリーグでも、ここにいるより強く、速く、賢い長身の選手がいると想定してプレーしてきたから、精神的に良い準備になった」と、良い意味でウェンバニャマを意識している。

ヘンダーソンはGリーグでの2年間の準備期間を経てNBAに挑戦するが、ステフィン・カリーが心強い味方となっている。カリーの団体『SC30』はヘンダーソンをサポートすることを発表。このオフはカリーのシューティングコーチ、ストレングス&コンディショニングチームがヘンダーソンを指導する。彼はNBAデビューまでに、ウェンバニャマ以上と言われるアスリート能力を『NBA仕様』まで磨き上げる予定だ。

「ステフからは『今を楽しめ』とアドバイスをもらっている。ステフを見ていると、その意味がよく分かるよ。彼がどれだけプレーを楽しみ、試合の中でどれだけ多くの笑顔を見せているか。彼は僕のためにドアを開け、自分の取り組みすべてを見せてくれる。僕も彼のような偉業を成し遂げたい。そのためのヒントを与えてもらっているんだ」

Gリーグでの2年間は彼にとって大きなプラスとなった。「17歳で迎えた1年目よりも2年目の学びの方が大きかったから、この2年間に意味はあったと思う。GリーグとNBAのレベルが違うのは分かっているけど、NBAで使われる用語はすべて理解しているし、いろんな面で学ぶことができた。正直、『やっとこの時が来た』と思っているよ」