「時には対立することもあったけど、多くのことを乗り越えてきたからこそ、互いのことを大切に思っている」

リーグ連覇を目指したウォリアーズは、故障者に苦しんだことも影響し44勝38敗のカンファレンス6位でプレーオフ進出。プレーオフファーストラウンドでは第3シードのキングスを4勝3敗で撃破したが、カンファレンスセミファイナルではレイカーズに2勝4️敗で負け、シーズン終了となった。

スティーブ・カーが2014-15シーズンに指揮官に就任して以降、ウォリアーズはここまで4度のリーグ制覇を果たしている。そしてカー就任後、昨シーズンまでプレーオフに出場した時はすべてファイナルまで進出していたのが、今シーズンは7度目にして初めてこれを逃す格好となった。就任当初は20代中盤だったステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンの中心メンバーたちは当然のように30代のベテランとなっており、今のウォリアーズは世代交代の過渡期へと向かっている。

そんな中、ビッグスリーの一員であるグリーンは今オフ、プレイヤーオプションを行使するとフリーエージェントになる。33歳のグリーンは、今シーズンも73試合出場で8.5得点、7.2リバウンドに6.8アシストを記録し、リーグ有数の守備力とパスセンスを備えたビッグマンとして活躍した。だが、開幕前にチームメイトのジョーダン・プールを殴る騒動を起こすと、プレーオフでキングスのドマンタス・サボニスを踏みつけて出場停止処分を受けるなど、トラブルメイカーとして悪い意味で目立つ部分もある。

こういった点からウォリアーズがグリーンとの再契約を見送るのでは、という意見も少なくない。だが、シーズン最後の記者会見においてカーは「もし、ドレイモンドが戻ってこなかったら、私たちは優勝候補ではなくなる」とグリーンの残留を切望している。

「彼は勝つため、私たちの目指すチームのために必要だ。だからもちろん彼には戻ってきてもらいたい。彼は競争心を持ち、傑出したディフェンス選手だ。そして私と彼は、長年にわたって特別な関係を築いている。時には対立することもあったけど、多くのことを乗り越えてきたからこそ、互いのことを大切に思っている」

ただカーは、グリーンが残留するためには、プールへの殴打事件などトラブルを起こして失った信頼を取り戻す必要があると続ける。「バスケットボールの観点から今年の彼は素晴らしいシーズンだったと思う。ただ、10月に起きたことによって、歩み寄りを見せないといけないことは彼も分かっている。だから来シーズンに彼が戻ってきてくるためには、彼は信頼と尊敬を再び構築しないといけない」

カーがいくら残留を望んだところで、ウォリアーズはサラリーキャップで大きくラグジュアリータックスを超過し、来オフにはクレイ・トンプソンがフリーエージェントとなる。いくら現場が必要な戦力と考えていても、財政面からキャリア最後の大型契約の機会となるグリーンの要求に応える金額を提示できるか不透明だ。ウォリアーズが、グリーンについてどんな決断を下すのかはFA戦線における注目トピックとなる。