48分間フル出場でチームを勝利に導く「ここに至ってはそういうものだよ」
ニックスはここまで1勝3敗と崖っぷちに立たされていた。それでもホームのマディソン・スクエア・ガーデンに戻った彼らは、ニューヨークのファンからの後押しを受けて素晴らしいパフォーマンスを見せ、112-103でヒートを倒した。
試合序盤、ニックスはこれまでのシリーズでそうだったように相手のインテンシティに圧倒され、オフェンスリバウンドからの得点を次々に許して2桁のビハインドを背負う。それでもヒートはプレーオフになって当たっている3ポイントシュートがこの試合の前半は全く決まらず、勢いを持続させられなかった。
第1クォーター終盤に若いクエンティン・グライムズ、ベンチから出たオビ・トッピンのハッスルでニックスが持ち直すと、ここからジェイレン・ブランソンが本領発揮。ゲイブ・ビンセントの徹底的なマークを時には強引なアタックで突破し、時には巧みにいなしてチームをリズムに乗せていく。
序盤の劣勢を覆したことで観客が大いに沸き、その雰囲気に押されるようにニックスはヒートのインテンシティを押し返し始め、ジュリアス・ランドルとミッチェル・ロビンソンがインサイドで身体を張ってリバウンドの不利を打ち消した。ヒートの3ポイントシュートは相変わらず入らないのに対し、ニックスは難しいミドルジャンパーもしぶとく決めて、第3クォーター前半を22-7と圧倒した。
ニックスは最大19点差までリードを広げるも、簡単には勝たせてもらえない。ヒートはケイレブ・マーティン、ダンカン・ロビンソンとベンチメンバーが奮起し、3ポイントシュートがようやく入り始めると次第に勢いを取り戻す。
第4クォーター残り6分で4点差、残り3分20秒で3点差とヒートが猛追を見せる。クラッチタイムに強いヒートはビハインドがずっと続いていてもこの展開に自信を持っており、ニックスはキーマンのブランソンが全く休むことなくプレーし続け、さすがにキレが落ちていた。
だが、ここでニックスは動揺することなく強い意志を持ってプレーし、チーム一丸で戦った。ブランソン主体のオフェンスが手詰まりになった時にはRJ・バレットが勇気を持ってリングにアタックし、ミッチェル・ロビンソンはハック戦術を仕掛けられるも、大の苦手とするフリースローを恐れずに打ってこれを打ち破る。ブランソンも1ポゼッションの重みが増す終盤、冷静にヒートのディフェンスを見てファウルを誘うクレバーさを忘れなかった。
ブランソンと同じく48分フル出場したグライムズは足を攣りながらジミー・バトラーからのクラッチスティールに成功。最後はロビンソンが外したフリースローのリバウンドをランドルが押さえ、そのまま押し込んで勝利を決定付けた。
ブランソンは38得点9リバウンド7アシストを記録。「まずは自分たちを信じることが必要だった。難しい試合だったけど、思い切って戦うことで第1クォーターに10点のリードを奪えたのが大きかった」と振り返る。全く休むことなく48分間プレーし続けたことには「ここに至ってはそういうものだよ」と笑顔で答えている。
これでニックスの2勝3敗。逆転でシリーズを突破するには、次のマイアミでの試合に勝たなければならない。