5年間で最も多くの勝利を挙げるも、プレーオフでの早期敗退で解任に
プレーオフのファーストラウンドでヒートに敗れたバックスは、ヘッドコーチのマイク・ブーデンフォルツァーを解任した。
バックスのジョン・ホーストGMはこの発表に際して「非常に難しい決定だった。バド(ブーデンフォルツァーの愛称)はチームを5年間、素晴らしいシーズンへと導き、50年ぶりのタイトルをもたらし、持続的な成功へと導いてくれた。バドがミルウォーキーで作り上げた勝利の文化とリーダーシップに感謝している」とコメントしている。
実際、ブーデンフォルツァーはこの5シーズンで最も多く勝ったヘッドコーチだ。2018-19シーズンの60勝22敗、2019-20シーズンの56勝、今シーズンの58勝はリーグトップの成績で、この5年間で271勝(120敗)を挙げたチームはいない。2021年にはバックスに優勝をもたらし、2024-25シーズンまで契約を延長していた。
今回のプレーオフでは終盤に取るべきタイムアウトを取らずに負けを受け入れるなど采配に問題があったのは事実だが、チームが転換期を迎えていたのもまた事実だ。ドリュー・ホリデー、クリス・ミドルトン、ブルック・ロペスの優勝メンバーは在籍の長いベテランで、チームのサイクルがピークを過ぎたのであれば、遅くとも来年オフには再編が必要となる。
現段階で来シーズンの契約が保証されているのは、アデトクンボ、ホリデー、ボビー・ポーティス、パット・カナートン、グレイソン・アレン、ルーキーのマージョン・ボウチャンプの6人だけ。35歳のロペスはフリーエージェントとなり、ミドルトンとジェボン・カーターは契約最終年の来シーズンはプレーヤーオプションとなる。
ミドルトンがプレーヤーオプションを行使して残留すれば、その時点でサラリー総額は1億5000万ドル(約180億円)を超え、チーム再編とはいえサラリーの柔軟性はほとんどない。チーム再編に際してはホリデーやポーティスのトレードといった思い切った判断が必要となりそうだ。
バックスは恒例となっているシーズン最後の会見を行わないと発表している。ブーデンフォルツァーは今回のプレーオフ期間中に弟を交通事故で亡くしており、悔しい敗退の後に自身の進退について会見で語るのは彼自身も気が進まなかったかもしれない。それでも、偉大な功績を遺した指揮官が何の言葉もなくミルウォーキーを去ることには寂しさを感じる。