ディロン・ブルックス

レブロンへの侮辱の言葉は「それが僕なんだ。後悔はしていない」

グリズリーズはプレーオフのファーストラウンドでレイカーズに敗れた。

レギュラーシーズンは51勝31敗で西カンファレンス2位、エースのジャ・モラントを中心に若いチームが経験を積み、アグレッシブに、そして激しく戦えるチームに成長した。しかしプレーオフ初戦でモラントが手首をケガ。レギュラーシーズン中はベテランにケガ人が相次いで苦しみながらも調子を上げてきたレイカーズとは対照的に、若いグリズリーズはポストシーズンで本来の力を出し切れなかった印象だ。

そのプレーオフで最も注目を集めたのは、モラントではなくディロン・ブルックスだった。彼が演じたのは主役と言うよりも『悪役』だろう。強いチームに必ず一人は在籍する、タフに戦うディフェンダーで、シーズン中も多くの選手をハードマークで潰してきた彼が今回標的としたのは、『NBAの生ける伝説』であるレブロン・ジェームズだった。

初戦に敗れ、第2戦に勝利した試合後、ブルックスはいきなりレブロンについて「年寄りは気にしない。僕から40得点を奪わない限りは誰も尊敬しない」とコメントした。そして第3戦、後半開始早々にブルックスはドライブを仕掛けたレブロンの股間にパンチを入れて退場となっている。

この時点で彼は完全な『悪役』となり、注目を一身に集めることになった。第3戦、そして最後の第6戦で、彼はリーグから義務付けられている取材対応を受けずに罰金を科されている。

一連の騒動は、ブルックスなりに強敵と渡り合い、打ち勝つための駆け引きなのだろう。ただ、結果として彼が起こした騒動はチームの集中を妨げ、レブロンとレイカーズの怒りを招き、グリズリーズにとってはマイナスになった。

敗退から一夜明けてシーズン最後の会見に臨んだブルックスは、「そうやって僕は自分に有利な状況を作り、相手とのギャップを作り出そうとした。やりすぎだと思われることもあるけど、僕にとっては最善の方法、僕が機能する方法なんだ」と語る。

レブロンへの発言を後悔しているかと問われると、即座に「ノー」と答えた。「それが僕なんだ。後悔はしていない。僕は競争者であり、常に誰かと競う。あれでレブロンに火が付いたとは思わない。僕は今後も僕らしくあり続け、成長していく」

プレーオフは6試合を通してのマインドゲームで、そこで『悪役』を演じたために多くの批判を浴びたが、それを気にしないタフさを持ってもいる。「批判は払い落とすだけさ。僕は今シーズンに大きくステップアップした。批判されるようになったのは僕が攻守両面で成長した結果だと思う。この流れを夏に持ち越し、さらなる成長のモチベーションにして、自分をもっと押し上げていきたい」

ブルックスのようなプレーヤーには批判も多いが、チームメートからすれば頼りになる存在だ。彼はグリズリーズの主力で唯一、今オフにフリーエージェントとなる。彼は去就について「エージェントに任せて、自分の成長だけに集中する」と語るに留めた。グリズリーズとしては、彼の苛烈なキャラクターに少々手を焼くことはあっても、彼がいなくなって失うものの大きさを考えれば、慰留することになるはずだ。

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