ジェームズ・ハーデン

エンビードはハーデンを称賛「ぶっちぎりでリーグ最高のプレーメーカー」

NBAのプレーオフが始まった。最初の試合となった東カンファレンス3位のセブンティシクサーズと6位ネッツのゲーム1は、レギュラーシーズンの対戦で4戦全勝しているシクサーズの完勝となった。

ネッツの指揮官ジャック・ボーンは試合前に「ハーデンのピック&ロールでディフェンスを破られ、エンビードに多くのフリースローを打たれる。そんな展開にはしたくない」と語っていたが、ジェームズ・ハーデンが13アシストを記録、ジョエル・エンビードは11本のフリースローをすべて成功させ、その通りになってしまった。さらに悪いのは、シクサーズで活躍したのはこの2人だけでなく、選手層の分厚さを見せ付ける勝ち方となったことだ。

序盤からシクサーズが優位に試合を運んだが、第2クォーター途中まではネッツのディフェンスも粘りを見せ、接戦に持ち込んでいた。エンビードのゴール下をダブルチームで潰し、素早く攻撃に転じてミカル・ブリッジズのワイドオープンに繋ぐ。続くディフェンスではハーデンのシュートをニコラス・クラクストンが叩き落した。第2クォーター残り5分半からの一連のプレーは、ネッツがゲームプランを遂行して1ポゼッション差に食らい付いていた時間帯だった。

しかし、シクサーズは粘るネッツを突き放す。常にダブルチームを受けるエンビードに無理にボールを集めるのではなく、ハーデンを起点にチームでパスを回し、良いシュートチャンスを作り出していく。先ほど紹介したネッツの良いディフェンスの後には、タイリース・マクシー、トバイアス・ハリス、そしてハーデンにエンビードと異なる選手が次々と得点して点差を広げた。

これまでシクサーズが何度も経験してきたプレーオフでの負けパターンは、エンビードが厳しいマークにイライラを抱え、それでも自分で強引に攻めてリズムを崩していくもの。それが今回はエンビードは周囲を信頼し、ハーデンが見事なプレーメークを見せ、多くの選手が得点に絡んだ。

「試合を通じて上手くコントロールできたと思う」とハーデンは語る。「ジョエルはどんな状況でも得点を生み出せる選手だけど、僕らがバスケットにアタックし、シュートを決めれば、すべてはより簡単になる。それが今日のキーポイントだった」

そのハーデンをエンビードはこう称えている。「ドリブルでペネトレーションして、シュートチャンスを作り出し、彼自身の3ポイントシュートも良かった。僕らが目指すところにたどり着く力になってくれる。彼はぶっちぎりでリーグ最高のプレーメーカーだと思うよ」

それと同時にエンビードは、リーグ得点王の彼が強引に攻めないのと同じように「彼だけに頼りたくはない」と言う。「今日のように積極的に攻めてほしいけど、そこからディフェンスが崩れ、みんなにオープンショットのチャンスが生まれる。そんなプレーを続けていきたいんだ」

ネッツではブリッジズがゲームハイの30得点を記録。粘り強いディフェンスからバランスの良いオフェンスに繋ぐことを意識したが、それをシクサーズにより高いレベルで遂行されて勝ち目がなかった。シュート確率ではネッツが上回ったのだが、ターンオーバーがシクサーズの8に対してネッツは19と、相手のディフェンスに捕まり、そこからハーデンを中心とするアタックを止められなかった。

そんなシクサーズの完勝となったが、経験豊富なハーデンは警戒感を緩めない。「次の試合はもっと難しくなる。相手がアジャストしてくるからね。次がシリーズで最も重要な試合になるけど、今日と同じマインドセットで臨み、さらに良いプレーをするつもりだ」

ネッツの渡邊雄太は主力を下げたラスト4分半の出場に。いきなりターンオーバーを喫し、思い切りの良いアタックでフリースローを得るも2本とも落とすなどハッスルが良い形にならなかったが、3ポイントシュートを決めて次に繋がるパフォーマンスとなった。