マックス・ストゥルース

第8シードでも目指すは優勝のみ「順位は全然問題じゃないよ」

ヒートは第8シードを争うプレーイン・トーナメントのブルズ戦で、苦戦を強いられながらもラスト6分を22-6と突き放し、102-91の逆転勝利を収めた。

試合序盤にヒートが14点のリードを奪ったものの、後半が始まってすぐにブルズが追い付き、その後は点差の離れない接戦に。第4クォーターも両者一歩も譲らない、エネルギー全開の攻防が繰り広げられた。ブルズの失敗は、シックスマンのコービー・ホワイトを勝負どころでベンチに下げたことだ。試合はクラッチタイムに突入し、ヒートはエースのジミー・バトラーにボールを集めるようになった。一方でブルズはザック・ラビーンのシュートタッチが悪く、代わりにホワイトが3ポイントシュートを連続で決め、バトラーの爆発力があってもなお流れを明け渡さず抵抗していた。

そのホワイトを下げ、先発ポイントガードのパトリック・ベバリーをコートに戻す。エリートディフェンダーであるベバリーの実績を選択した形だが、最も調子の良い選手をベンチに置いたのを機に、ヒートに一気に流れを持っていかれてしまった。

バトラーの勝負強さはいつものことだが、この試合ではマックス・ストゥルースも12本中7本の3ポイントシュートを沈め、バトラーと並びゲームハイの31得点と大暴れ。残り2分17秒に逆転のバスケット・カウントを決めたバトラーがコートに仰向けに倒れたまま雄叫びを上げ、その1分後にストゥルースがトドメの3ポイントシュートを沈め、ブルズを振り切った。

キャリア4年目の27歳。ストゥルースはドラフトを経ることなく、注目されずにNBAにやってきた選手だ。セルティックスと2ウェイ契約を結ぶもチャンスがなく、2019-20シーズンに念願のデビューの機会を与えてくれたのは、生まれ育ったシカゴのチーム、ブルズだった。この時はすぐにケガをして契約を失ったが、次のシーズンからヒートでプレーしている。

「オフにシカゴに戻った時にトラブルにならないことを願うよ」とストゥルースは笑顔を見せる。「でも、僕の味方をしてくれるファンも多いから大丈夫。僕はブルズが大好きだし、知っている選手も多くて、すごく尊敬している。だからこそ、故郷のクラブと対戦して勝てたのは素晴らしいことだ」

プレーイン・トーナメントのもう1試合、ティンバーウルブズvsサンダーは一方的な展開となったが、こちらは最後の最後まで分からない激戦となった。ヒートはこういった試合展開に慣れているし、最後の我慢勝負になれば勝てるという自信がある。ケガであっさりと終わった失意のデビューシーズンを経て、練習参加から主力の座をつかんだヒートでの3年間で、ストゥルースもその自信を備えた。

「そうだね、僕たちにとっては新しいことじゃない。今日みたいな試合には慣れっこだから。本当はもっと簡単に勝ちたいけど、こういう試合は楽しいし、ファンの後押しを受けて勝つのは最高だ」

これでヒートは4年連続のプレーオフ進出を決めた。昨シーズンは53勝を挙げて東カンファレンスの第1シードだったが、今年はプレーイン・トーナメントを経ての第8シードで、首位のバックスに挑むことになる。1年前に比べて立場は悪くなったが、ストゥルースは全く気にしていない。

「プレーオフ進出を素直に喜んでいる。順位は全然問題じゃないよ。どっちにしても、僕らが目標を達成するには全チームに勝たなきゃいけない。だったら最初に第1シードのチームから倒そう、ってぐらいだね。バックスは素晴らしいチームだし、厳しいシリーズになるだろうけど、僕らは最善を尽くす。さっきまではブルズのことしか頭になかった。明日になればバックスとの戦いに向けて意識を切り替え、集中するよ」