「みんなは未だに何かしらの恨みがあったりすると考えている。だが、何もない」

NBAプレーオフのファーストラウンドで、西カンファレンス5位のクリッパーズは同4位のサンズと対戦する。クリッパーズは中心選手のポール・ジョージが膝の故障で少なくともシリーズ序盤を欠場する見込みと、大きなマイナス要素を抱えてポストシーズンを迎える。たとえ、途中から復帰できたとしても、現地3月21日の試合を最後に実戦から遠ざかっているジョージに本来のプレーを求めるのは酷であり、残ったメンバーのステップアップが必要だ。

こうした背景もあり、シリーズのキーマンとしてより注目を集めるのがラッセル・ウェストブルックだ。シーズン途中にレイカーズから加入したウェストブルックは、レギュラーシーズンで21試合に出場し、平均15.8得点、7.6アシスト、4.9リバウンドを記録した。このスタッツ自体は、レイカーズ在籍時(52試合出場、平均15.9得点、7.5アシスト、6.2リバウンド)とほぼ同じだが、フィールドゴール成功率は41.7%から48.9%と大きく向上している。

また、ウェストブルックにとって、かつての同僚であるサンズのケビン・デュラントとポストシーズンでは初対決となるのも大きな見どころだ。プロ入り当初、2人はサンダーで一緒にプレーし、2012年のファイナル進出など輝かしい成績を残した。しかし、2016年のカンファレンス決勝でサンダーがウォリアーズに敗れた直後のオフ、デュラントはウォリアーズに加入。この選択をウェストブルックが好意的に捉える訳もなく、翌シーズンのサンダー対ウォリアーズの試合で、2人が顔を突き合わせて口論をするなど、一時は険悪な関係となっていた。

だが、この出来事も過去の話であり、ウェストブルックはデュラントとのわだかまりが全くないと語った。「(デュラントとの対戦は)普通のことだ。みんなは未だに何かしらの恨みがあったりすると考えている。だが、何もない。彼については、これまでのキャリアで成し遂げたことに敬意を持っているのみだ。故障から復帰した姿を見られてハッピーだよ」

また、デュラントもウェストブルックについて、特に意識することはないと語っている。「ラスはどんな選手に対しても激しくプレーする。これがラスのスタイルで、僕に対して特別なものはない。彼とは長い間、一緒にプレーしてずっと見てきた。だから、何か違いがあるとは思わない」

ベテランとなり過去の因縁を水に流している2人だが、プレーオフはレギュラーシーズンとは全く別物の緊迫感がある。再び2人による熱い戦いを期待するファンも多い中、どんな展開となるのか見逃せない。