第4クォーターは9-9、壮絶な守り合いを制したENEOSがファイナル進出に王手
Wリーグのプレーオフ、セミファイナルでENEOSサンフラワーズがデンソーアイリスと対戦。両チームともに身体を張ったタフなディフェンスを繰り広げる激闘となったが、25得点12リバウンドの渡嘉敷来夢を中心に、ここ一番の遂行力でわずかに上回ったENEOSが71-67で競り勝った。
試合の立ち上がりから一進一退の攻防が続くが、終盤にかけてオフェンスリバウンドからの連続得点と球際の強さで上回ったENEOSが第1クォーターで23-17と先手を取る。第2クォーターに入っても、ENEOSは渡嘉敷を中心としたインサイドアタックで得点を重ねて突き放しにかかるが、デンソーは高橋未来のドライブ、渡部友里奈の外角シュートと、ベンチスタートのガード陣の奮闘で食い下がった。
ENEOSの8点リードで前半を終えたが、劣勢の時間帯を耐えたことで第3クォーターに入るとデンソーが流れを引き寄せる。赤穂ひまわりがオフェンスリバウンドからバスケット・カウントの3点プレー。さらに本川紗奈生がスティールから速攻を決めると、ターンオーバー奪取からの髙田真希の3ポイントシュートと怒涛の連続得点で、開始2分半で47-47と追いつく。その後、渡嘉敷と長岡萌映子の強力コンビでENEOSがすぐにリードを奪うが、デンソーは渡嘉敷がベンチに下ったことでゾーンディフェンスを敷いた相手の隙を突いて連続3ポイントシュート成功とすぐにやり返す。
ENEOSの4点リードで迎えた第4クォーター、デンソーの髙田が開始早々に4つ目のファウルとなるが、引き続きコートに立ち続ける。当然、ENEOSは髙田をファウルアウトに追い込もうとインサイドアタックの意識を強めたが、「髙田選手がファウル4つになって、そこから中、中となってしまいました。空気的にそうなるのは分かりますが、ボールを中に入れた後の動きが止まってしまいました」と、渡嘉敷が振り返ったように、結果としてオフェンスが単調になる。
こうして内と外のバランスを欠くことで、パスカットされる場面が増えるなどENEOSのオフェンスは一気に停滞してしまう。だが、ディフェンスでは最後まで集中力を切らさず、ディフェンスリバウンドもしっかり取り切ることでデンソーに得点を許さない。そして、第4クォーターは9-9と壮絶な守り合いとなり、第3クォーター終了時点のリードを守り切ったENEOSが競り勝った。
「自分が積極的になって、アタックから合わせのプレーをやっていきたい」
この試合、ENEOSの長岡は16得点9リバウンド4アシストと攻守に渡って活躍。76-69で富士通を撃破した先週のクォーターファイナル(19得点4アシスト)に続き、渡嘉敷との強力コンビで勝利の原動力となった。
「髙田選手の9得点など、相手の得意なところを抑えたられたのは良かったと思います。ただ、自分も含めてターンオーバーが多く、しかも大事な時間帯でミスをしているのがもったいなかったです。ただ、こういったタフな試合を勝ち切れたのは自信、勢いになります。明日のデンソーさんは、今日の倍くらいの勢いで来るので、自分たちも受け身にならずにチャレンジャーとして試合に臨んでいきたいと思います」
このように長岡は試合を振り返ると、第4クォーターでオフェンスがうまくいかない中でも、高い集中力を保ち続けることができたディフェンス面の進化をこう語る。「いつも以上にみんなが声を出していて、コミュニケーションが取れていました。全員で守ろうとする意識がすごくあったと思います。試合前にも自分たちのバスケットボールはディフェンスからと確認して臨みました。リーグ戦ではそこがブレがちでしたけど、ここに来てみんなの集中力が切れずにできています」
また、オフェンス面ではハイ&ローのプレーを軸とした渡嘉敷とのコンビで、2人合わせて41得点7アシストと大暴れだった。ただ、「ハイ&ローに対して、かなりアジャストされてきています。そこはよりタクさん(渡嘉敷)と、コミュニケーションを取ってやっていかなければいけないと思います」と長岡に油断は全くない。
そして、相手の徹底マークを打ち破っていくためには、自身の積極性が重要と続ける。「途中でミスがあったのは、タクさんを見すぎて自分のアタックができていなかったからです。明日はもっと自分が積極的になって、アタックから合わせのプレーをやっていきたいです」
今日の第2戦、負けたらシーズン終了となるデンソーはより高いエナジーを出して試合開始から仕掛けてくるだろう。この相手の勢いを跳ね返し、大黒柱である渡嘉敷の負担を軽減させるためには、引き続き長岡の攻守に渡る活躍が大きな鍵となる。