チームトップの17得点に加えて9リバウンドをマークし、手負いの群馬を牽引
4月5日、群馬クレインサンダーズはアウェーで千葉ジェッツと対戦。チーム全員がエースのトレイ・ジョーンズ不在を埋める奮闘ぶりを見せるも、オフェンスのミスが目立ち81-89で敗れた。
群馬の水野宏太ヘッドコーチは「両チームとも選手を欠く中、チームの完成度が僕たちよりもジェッツさんが上回っていた印象です」と同地区上位チームとの差を話し、次のように振り返った。「1ポゼッションディフェンスで止めたいところだったり、良いディフェンスからオフェンスに繋げたいところでミスをしてしまいました。相手にオフェンスリバウンドを取られた結果、セカンドチャンスから12点を奪われました。そういった一つひとつのプレーの質を上げていくことが、僕たちの課題だと思っています」
また、ジョーンズの欠場を受けてゲームプランを少し変更したことも明かした。「ジョーンズがいない中で、トランジションを無理して狙わずにポゼッションを大切にしようとしました。(トランジションを)狙いすぎると悪循環になることも考えられたので、今日のゲームプランの1つとして、ハーフコートのオフェンスを使っていくことも意識しました。後半は良いディフェンスができた分だけしっかりトランジションに走れていたので、前半よりもうまくできたと思います」
群馬は持ち味であるアップテンポなバスケを減らし、ハーフコートオフェンスを増やしながらもシーズン平均に迫る得点を記録した。その中で、ベテランのマイケル・パーカーは、3ポイントシュート3本中3本成功を含むチームハイの17得点を挙げて、群馬の得点源となった。また、機動力のある千葉Jの外国籍選手とのタフなマッチアップをしながら、得点以外にも9リバウンド(うち4オフェンスリバウンド)を獲得するなどゴール下で奮闘した。貢献度を示すEFFでは、チーム最多(タイ)の23を記録した。
パーカーは「ずっと追いかける展開でしたが、本当に良いゲームだったと思います」と試合を総括し、自身のオフェンスについて次のように振り返った。「いつも通りピック&ロールからの展開を心掛けました。3ポイントシュートは、ドライブすることで相手のディフェンスがだいぶ縮まったので、そこから良いキックアウトを受けて、良いシュートが打てたと思います」
また、後半にチームで10点を挙げたファストブレイクポイントについて、こう話す。「前半はディフェンスでなかなかキャッチアップ(オフェンスのマークにつくこと)をできていませんでしたが、後半からはしっかりキャッチできていました。良いディフェンスからリバウンドも積極的に取ることができ、そこからファストブレイクに繋がったと思います」
「残りの試合を力強くプレーし続けたい。それだけに集中して終盤戦に臨んでいく」
現在41歳ながら驚異的なスタミナと瞬発力を持つパーカーは、2020-21シーズンに群馬に加入して以降、一度も先発から外れたことがない中心選手だ。平均得点は千葉J所属時から2桁得点を記録し続け、リバウンドは昨シーズンを超える平均8.4本(チームトップ)を記録するなどチームを支えている。
このように群馬のキーマンとして活躍しているパーカーは、ジョーンズが不在となった今回の試合もあわてることなく、いつも通りを意識したという。「トレイがいないこともあって、高さのアドバンテージができることもありましたが、普段と全く同じようにプレーすることを意識しました。特殊なことにアジャストするのではなく、全員がいつもと変わらないプレーをできていたと思います」
そして、いつも通りプレーするという考えは水野ヘッドコーチともコミュニケーションを取って共有されたものだと話す。「今まで通りのことをやろうと話しています。どのプレーヤーがいなくなっても、どのプレーヤーがいてもすべて同じようにプレーします。その方が難しくないので、今までやってきたことをしようと、この試合の前にもコミュニケーションを取りました」
現在の群馬は24勝24敗で東地区5位と、勝ち星が先行していたシーズン序盤に比べると調子を落としている。しかし、今回の試合のようにエースが不在の中でも、パーカーを中心に『いつも通り』を徹底することで、誰が欠けても強みを発揮できることを示している。また、東地区の3位から5位までは同勝率で並んでおり、群馬がこの混戦を勝ち抜けばB1昇格後最高勝率を記録することも十分可能だ。自分たちの力を証明する残り12試合に向けて、パーカーは淡々と次のように意気込んだ。「シーズンを通してアップダウンがありました。残りの試合を力強くプレーし続けたい。そのことだけに集中して終盤戦に臨んでいきます」
そして最後に、約1年ぶりとなった船橋アリーナ凱旋について、千葉J時代の仲間たちと握手を交わしながら次のように話した。「本当にたくさんの思い出とたくさんの成功をしたアリーナです。ここに戻って来れるのは、いつも楽しい良い機会だと思っています。毎回帰ってくると、前のプレーヤーもいるので、本当にスペシャルな場所です」