ライアン・ロシター

文=鈴木栄一 写真=野口岳彦

1試合52得点のBリーグ記録を作るも第1戦を落とす

栃木ブレックスは、前節で琉球ゴールデンキングスをホームに迎え撃った。両チームとも地区首位の好カードであることに加え、琉球には佐々宜央、古川孝敏、須田侑太郎、並里成とかつて栃木に在籍したことのあるメンバーが数多く在籍している。こういった背景もあって2日連続で超満員の大盛り上がりとなった週末は、1勝1敗の痛み分けに終わった。

2日間ともにフィジカルの激しい『熱闘』となったが、様々な意味で両日とも主役となったのは、栃木のエースであるライアン・ロシターだ。初日、ロシターは序盤から得点を量産し、第4クォーター終了直前の時点で38得点をマーク。しかし、同点で迎えた残り1秒からシューティングファウルで獲得したフリースローを痛恨の2本連続失敗。この結果、延長へともつれこんだ試合は、再延長の末に琉球が93-90で制した。

この試合、延長で4点、再延長で10点を加えたロシターは、最終的に52得点と1試合最多得点のBリーグ記録をほろ苦い形で樹立した。

翌日の試合では栃木が後半に突き放して77-67と雪辱を果たしたのだが、ロシターは25得点16リバウンドと連夜のハイパフォーマンスで勝利の立役者となった。そして、因縁のフリースローでも11本中10本成功と見事にリベンジを果たした。

「琉球は素晴らしいチームだが、2試合続けて負けるわけにはいかないと思っていた。その中で、試合前にヘッドコーチから気負いすぎずに自分たちのバスケットボールをしようと言われ、それがしっかりできた。ディフェンス面では少し修正はあったけど、オフェンスでは戦術に変更はなく、ゴール下にアタックすることで良い流れでシュートを打てたと思う」

このようにロシターは勝利を振り返ると、自身のプレーについては次のように言う。「昨日、フリースローのミスで勝てるチャンスを逃し、とても悔しい気持ちだった。今日はアグレッシブに自信を持ってプレーすることに集中した。それができて今日は勝ててハッピーだよ。」

ライアン・ロシター

課題のフリースロー成功率は大きく改善

今さら説明するまでもないが、ロシターは得点、リバウンドと数字を残す選手であるが、スタッツに残らない泥臭いハードワークも手を抜くことがないチームプレーヤーだ。試合において彼が求めるのはチームの勝利のみ。だからこそ、1試合52得点という偉大な記録についても素直に喜ぶことはできない。12月8日はロシターにとって52得点を挙げた試合ではなく、最後にフリースローを2本外してチームを勝利に導けなかった悔いの残る試合として記憶に残るものだ。

「このリーグには多くの素晴らしい選手がいて、その中で最多得点の記録を作ったことは光栄に思う。その気持ちに嘘はないよ。ただ、試合に負けたら、記録にこれといった意味はない。自分がミスしてオーバータイムで負けた。そういう試合という印象だ」

しかし、だからこそ翌日の試合、フリースローを11本中10本成功とほぼパーフェクトで決め試合に勝ったことは大きな意義を持つ。ロシターのフリースロー成功率は一昨年が44.5%、昨年は42.6%と低調だった。しかし、今シーズンはここまで約65%と大きく改善されている。この成功率アップが攻撃の積極性に結びついているのか、出場時間に大きな違いはない中で1試合平均のフリースロー自体の本数も昨シーズンの3.3本から、ここまでは7本と増えている。

ロシターがこのままフリースローでの得点を伸ばしていけるのか。栃木の王座奪還へ向けた大きな注目ポイントとして、引き続き追っていきたい数字だ。