マカドゥの退場後、後半だけで13得点の活躍
サンロッカーズ渋谷は先週末の宇都宮ブレックス戦を1勝1敗で終え、チャンピオンシップ進出に望みを繋げた。第1戦を64-78で落として迎えた第2戦、SR渋谷は速攻やターンオーバー奪取からの連続得点で先行すると、宇都宮の粘りに遭いながらもその都度跳ね返し、すべてのクォーターを少しずつ上回って81-75で勝利した。
新型コロナウイルスの陽性判定を受けた浜中謙ヘッドコーチに代わり、指揮を執った木下博之アシスタントコーチはディフェンスの勝利を強調した。「比江島(慎)選手にウチのディフェンダー2人(渡辺竜之佑と関野剛平)を徹底的に当ててリズムを崩そうという策で臨みました。その2人がすごく頑張ってくれたおかげで周りへエナジーが伝染したと思いますし、ディフェンスの部分であの2人には助けれられたなと思います」
渡辺は高さのミスマッチを突き、関野は要所で3ポイントシュートを沈めるなど、ディフェンス以外の面でもインパクトを残した。木下コーチが言うように2人のディフェンス面での貢献は目立ったが、攻撃の主役を担ったのが西野曜だ。西野は持ち味である合わせのプレーでイージーシュートを決めて、強気なドライブから連続でバスケット・カウントをもぎ取るなど、7本中5本のフィールドゴールを成功させシーズンハイに並ぶ14得点を記録。特筆すべきはそのうち13得点を後半に固めたことだ。
SR渋谷が3点をリードして迎えた後半の出だし、ジェームズ・マイケル・マカドゥのアリウープ、速攻の連続得点によって宇都宮を突き放したが、そのマカドゥが開始3分35秒にディスクォリファイングファウルで一発退場となってしまう。大黒柱の突然の離脱がチームに及ぼす影響は大きかったはずだが、ここで西野が気を吐いた。2連続3点プレーを含む8得点を挙げてリードを保つきっかけを作ると、最終クォーターの序盤には自らのオフェンスリバウンドをセカンドチャンスポイントに繋げ、再び3点プレーとなるバスケット・カウントも成功させた。
いつもよりも積極的にアタックする姿が印象的だったが、その裏にはマカドゥからの一言があったという。「マックがコートから去る際に、点を取ってこいって感じで声をかけられました。なので、そこはちょっと意識しましたね」
マカドゥにオフェンスを託されたことでよりアグレッシブにプレーした西野は、自身のパフォーマンスをこのように振り返った。「コーナーからのカットプレーが自分の強みですが、今日はピンダウンからのドライブだったり、そういった強気なプレーができました。ブレックスさんが相手でも通用したというのは大きな収穫で、ステップアップできた試合だなと思います」
また、マカドゥの穴を埋める大きな役割を果たした西野だが、この勝利は自分だけでなくチーム一丸でつかみ取ったモノだと主張する。「マックがいなくなるのはチームとして痛手ですが、僕たちは誰が出ても同じ強度でバスケをすることを意識しているチームです。今日はたまたまマックがいなくなっただけなので、特に意識することはなかったですし、ケミストリーが増した感じがしました。相手ではなく、自分たちがさらに成長できたってことだと思います」
試合時間残り6秒、勝敗が決したタイミングで西野はフリースローを獲得したが、2本とも失敗した。1本でも決めていれば、シーズンハイ更新となっただけに「いつも通り打ったのに外れてしまって悔しい」と苦笑いを浮かべた。それでも、緊急事態だけでなく常にオフェンスのスイッチを入れさえすれば、西野がシーズンハイを更新する日はそう遠くないはずだ。