川真田紘也

5連勝をかけて横浜BCに挑むも、ディフェンスが機能せずに敗戦

4月2日、滋賀ダイハツアリーナで滋賀レイクスvs横浜ビー・コルセアーズの第2戦が行われた。前日の第1戦は滋賀がハイペースゲームを102-95で制したが、第2戦は強度が増した横浜BCのディフェンスの前に得点が伸びず84-93で敗れた。

立ち上がりから両チームともインサイドをしっかり固めるディフェンスをするが、的を絞らせないオフェンスを展開する横浜BCに滋賀は先行を許してしまう。ベンチスタートのデクアン・ジョーンズがコートインするとこのクォーター7得点の活躍を見せて逆転に成功。しかし、第2クォーター残り2分から風向きが変わる。それまで1ポゼッション差が続いていたが、滋賀はインサイドの起点となるイヴァン・ブバを封じられて得点が止まる。その間にチャールズ・ジャクソンやデビン・オリバーに連続8得点を奪われたようにインサイドを攻められ、32-43で前半を終える。

後半に入り滋賀は復調を見せたブバが得点を重ねるものの、河村勇輝を中心とした横浜BCのオフェンスを止められず、点差が縮まらないまま時間が過ぎていく。最終クォーターで追い上げを見せたい滋賀だったがテーブス海がこの日2つ目のアンスポーツマン・ライクファウルを宣告され退場となってしまった。キーファー・ラベナや柏倉哲平の得点で嫌な流れを断ち切り、デクアン・ジョーンズがこのクォーターで14得点の活躍を見せたものの、ジャクソンや河村に要所で決められてしまい、最後まで点差は詰まらなかった。終始、滋賀の追い上げを許さなかった横浜BCが前日のリベンジを果たした。

この試合で攻守に渡って横浜BCのインサイド陣に苦しめられたブバに代わって、第1クォーターからチームを盛り上げたのは日本人ビッグマンの川真田紘也だった。いつもより早い開始4分でコートに立つと、最終的には20分21秒の出場と2月10日の川崎ブレイブサンダース戦以来の20分超えのプレータイムを得た。

久々に長くプレーしたことに関して川真田は「ブバも疲労が溜まっていたようでコンディションが良くなかったので、始まった時点で今日は出場時間が多いかなと思っていました。自分が出たら外国籍選手を止めてリバウンドを取って狙えるところでは点を決めると。やることは決まっていて、それがハマって20分以上の出場に繋がったと思います」と、振り返る。

その言葉通り、ジャクソンを止めるシーンもあるなど、川真田が出ていた時間帯はチームとして流れが良い印象を受けることもあった。実際に出場時の得失点差を表す数値は、敗戦となった滋賀の大部分の選手がマイナスとなる中、川真田はチームハイの+8を記録した。

川真田紘也

「ベンチから出るメンバーは目立ってなんぼ。会場を盛り上げたい」

特にチームに勢いを与えたシーンは、第1クォーター残り3分30秒。河村が出したジャクソンへのロブパスを川真田が空中で弾いてスティールし、そこからファストブレイクの前線を走りダンクを決めた場面だ。川真田はこう振り返る。「ベンチから出るメンバーは目立ってなんぼというか、良いプレーをしてチーム全体も会場も盛り上げる必要があると思います。ああいうプレーで盛り上げられればと思っていましたし、前のプレーもダンクを狙っていましたが、気持ちが先走って失敗してしまったので、次にチャンスがあればダンクを狙おうと思っていました」

日本人選手として迫力あるプレーを見せる川真田だが、ディフェンスでもハッスルすることを忘れない。リーグでもトップクラスのインサイドプレーヤーであるジャクソンとマッチアップする場面が多かった川真田は自身の役割と今後の課題を明確に理解している。「センタープレーにしろリバウンドにしろ今の自分では競り合うのは厳しいと思うので、リバウンドで相手を飛ばせないとか相手に仕事させないというのを念頭に置いています。将来的にはちゃんと止められるようにしたいですが、現時点ではそういったプレーで仕事ができたので良かったです」

滋賀のダビー・ゴメスヘッドコーチも川真田に対する期待は大きい。「自分の役割を理解しながら100%コミットしてやってくれています。日本代表のメンバーというところでも今シーズンは成長しながらリーグからも高いリスペクトを得られるようになっていて、彼のパフォーマンスがコート上で発揮できるようになってきていると思います」

しかし、この敗戦により滋賀は今シーズン最長だった連勝が4でストップした。連勝は止まったものの、川真田は前日までの連勝から得られたものがあると言う。「勝つことによって勝ち癖というか自分たちの勝てるバスケットがこういうものだと分かりました。逆に負け続けると心理的に『今日も負けてしまうのではないか』と思ってしまいます。今日は負けてしまいましたが自分たちが何をすれば勝てるのかが分かってきたので、それをプレーとして出せば負けることはないです。残り13試合はどんどん出して、勝ち続けていきたいです」

この日の敗戦により、富山グラウジーズと1ゲーム差、新潟アルビレックスBBと2ゲーム差と、残留を争う2チームから追い上げられている。今後の展望については「チームメートみんなが負け試合では見えない自分の良いところが見えてきています。杉浦(佑成)選手はハードなプレーでリバウンドやアタックしたり、柏倉(哲平)選手だったら3ポイントシュートが要所で決まるような良い部分が出て勝てているので、自分たちの強みをどんどん出していければと思います」と、残留に対する意気込みを語った。

今シーズンは日本代表デビューを飾ったり、強力な外国籍選手とマッチアップするなど多くの経験をしたことで、自分の可能性に気付いたという。「今シーズン負ける試合が多かったですが、『自分ってこんなにできるんだ』という発見がありました。新しい自分を発見しているので、あとはどれだけ継続して1試合1試合プレーに繋げていけるかです。それがチームへの貢献となるため、試合で発揮していきたいです」

この日見せたダンクを始め外国籍選手相手でもリバウンドを奪い、身体を張ってシュートを外させる姿は観ている人に期待を抱かせてくれる。荒削りな部分もあるが、今や滋賀にとってなくてはならない存在となった川真田の成長と活躍を今後も楽しみにしたい。