接戦をモノにして、群馬が前日の雪辱&連敗ストップ
3月26日、群馬クレインサンダーズvs秋田ノーザンハピネッツの第2戦が行われた。
第1戦の群馬は序盤からリズムをつかめずに23点差の大敗を喫した。この試合は序盤こそ秋田にリードを許したものの前半終了間際に逆転。後半に入り追い上げられる時間もあったが、リードを許さずに84-81で勝利した。これで群馬は3月15日の宇都宮ブレックス戦から続く連敗を5でストップし、今節終了時点で東地区3位を死守した。
試合の序盤から3ポイントシュート攻勢で得点を積み上げてくる秋田に対して、群馬は攻守ともにリズムがつかめない。前日同様の激しいディフェンスに後手を踏み、第1クォーターだけで5つのターンオーバーを喫してしまう。しかし、苦しみながらもマイケル・パーカーやケーレブ・ターズースキーのインサイド陣がオフェンスリバウンドを獲得して活路を見いだして奮闘。第1クォーター終了間際、菅原暉がドライブからペリメーターシュートを決めて14-20とする。
第2クォーター開始早々、エースのトレイ・ジョーンズが2つ目のファウルを犯し、ベンチに下がらざるを得ない状況となり、秋田のスピードあるドライブやパスに翻弄されてビハインドを縮めることができない。それでも、ターズースキーがリバウンドで圧倒し、連続で得点を挙げて追い上げる。さらにジャスティン・キーナンのフリースローで逆転した残り2分32秒にジョーンズがコートに戻り、そこから5点を挙げる活躍を見せた。最後は残り3秒で放った菅原のディープスリーがリングに吸い込まれて、40-36とリードして前半を終えた。
後半に入ってもハイペースゲームは続く。激しいディフェンスからトランジションで攻撃回数を増やす秋田に対して、群馬はスペースをうまく使って内外から得点を重ねる。特にこのクォーターで10得点を記録したパーカーは、欲しいところでしっかり決めてベテランの力を示した。秋田は残り6分31秒にスティーブ・ザックが早くも4つ目のファウルを犯し、コートに立てなくなったのは痛手となったが、5本中4本と高確率で3ポイントシュートを沈めたことで62-65とビハインドを1点縮めて最終クォーターに突入した。
群馬はアキ・チェンバースの3ポイントシュートとジョーンズのミドルジャンパーでリードを8点に広げるが、秋田も伊藤駿の連続得点とザックのペイントでの得点で一気に2点差まで縮める。この日シュートタッチが良かった秋田の中山拓哉が3ポイントシュートを2本決めるが、群馬も並里成が高確率でフィールドゴールを成功させてリードを許さない。流れが行ったり来たりする目まぐるしい展開となったが、要所でフリースローをしっかり決めた群馬が逆転を許さずに前日のリベンジを果たした。
「昨日よりアグレッシブにシュートを狙いに行くことができた」
前日と同様に序盤にリードを許した群馬だが、同じ轍は踏まなかった。水野宏太ヘッドコーチは「まず昨日と比べてリバウンドの意識が違いました。第1クォーターからオフェンスリバウンドをしっかり取ることができて、相手のオフェンスに切り替わるまでの時間をしっかりかけさせられたと思います」と、秋田にトランジションをやらせなかったことを勝因の一つとして挙げた。
また、「通常であれば、第2クォーターの前半でファウルを2つした選手は後半まで使わないようにしますが、今日はリスクを伴ったとしてもジョーンズを出して戦いに行きました。前半を昨日とは違う終わり方にできたのが大きいと思います」と、正攻法から外れても強気の姿勢で臨んだことを明かした。
しかし、ゲームプラン通りにいかない部分もあった。第3クォーター開始2分強で並里が3つ目のファウルを犯しベンチに下がることになってしまう。ここでピンチを救ったのが並里の代わりにコートに立った菅原だった。この試合の菅原はゲームコントロールはもちろん、積極的にリングにアタックしていく姿勢を見せて、シーズン平均を上回る9得点を挙げた。菅原は自身のプレーと試合全体をこう振り返る「昨日よりもアグレッシブにシュートを狙いに行くことができました。ゲームプランとしては基本的なことを自分たちにフォーカスして遂行しようとヘッドコーチからも言われていたので、難しいことを考えることなくシンプルにしました。昨日より良い展開になり、最後まで我慢することができて勝てたので良かったです」
水野ヘッドコーチも菅原に対する期待は大きく「オフェンスでもディフェンスでも身体の強さを生かしたプレーができるとチームの武器になります。今日はその通りやってくれたかなと思います。気持ちを出してアグレッシブにプレーしたことで成長するきっかけになって欲しいです」と、菅原の積極的なプレーを評価した。
しかし、菅原自身はこの活躍に満足することはない。実際に秋田の激しいディフェンスを前に「手が出てくるディフェンスで他のチームなら出せるパスも出せないこともありました。状況判断だったり、もっとしっかりコントロールできればよかったかなという反省点もあります」と、ポイントガードして苦戦したことも口にした。
群馬はこの試合に勝利するまで今シーズン最長となる5連敗と苦しんでいた。シーズンは残り15試合だが、ここからどう盛り返していくのか注目が集まる。これから勝ち星を先行させていくために必要なことを菅原はこのようにとらえている。
「選手同士ではコミニュケーションはよく取っていて、やりやすいようにしています。遂行しようと考えすぎるとそれぞれの良いところが出なかったり、ディフェンスでも集中力が切れてやり続けられない場面が最近は多かったです。シンプルなことを見つめ直してやっていければ、どこのチームとも良い試合をして勝つことができるので、シンプルなことにフォーカスしてやっていければと思います」
「個人としてはチームにもっと勢いを与えられるように頑張っていきます」と、菅原が力強く話したように、ポイントガードが積極的なプレーを見せるとチームは活気づく。現在のBリーグで上位に君臨するチームはどこもディフェンス力が高い。そんな強靭なディフェンスにも臆することなくアタックしていく菅原の姿をブースターは期待している。
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