致命的なミスを犯すも辛勝し「みんなに感謝しないといけません」
川崎ブレイブサンダースは水曜ナイトゲームの富山グラウジーズ戦に85-81で勝利し、中地区単独首位をキープしている。
前節の群馬クレインサンダーズ戦で捻挫したジョーダン・ヒースは富山戦を欠場。攻守の要であるヒースの欠場による影響は大きく、川崎は苦戦を強いられた。「ジェイ(ヒース)の分まで一人ひとりがステップアップして、みんなでやろうということで試合に入りました。ちょっといつもと違う役割だったり違うローテーションでリズムに乗れないところがありました」と佐藤賢次ヘッドコーチが語ったように、ラインナップの変更を余儀なくされたことも少なからず響いた。
当然ながら、選手の故障は喜ばしいことではない。それでも、同じポジションの控え選手にとっては自身をアピールするチャンスでもある。日本人ビッグマンの鎌田裕也は前節の群馬戦でヒースが負傷した後の最終クォーターに3分のプレータイムを獲得。佐藤ヘッドコーチは「ビッグラインナップを使った分、鎌田が繋ぐ時間帯で良いディフェンスができました。控え選手も含めてチームみんなで良い仕事ができた試合だったと思います」と、鎌田の名前を挙げつつチームを称賛した。富山戦では7試合ぶりに2桁以上のプレータイムを獲得し、身体を張った献身的なプレーでチームに貢献した。
ただ、終盤までクロスゲームが続き、内容は決して良くなかったため、「最終的に勝てたことはうれしいというか、ホッとしていますが、反省すべきところがたくさんあったので次に繋げていきたい」と鎌田に笑顔はなかった。
川崎は富山の変則的なゾーンディフェンスの攻略に時間がかかり、なかなか主導権を握れなかった。鎌田もその対応が課題だと言う。「富山さんが特殊なディフェンスをしてきて、その中でアジャストできていない部分がありました。相手がどんなディフェンスをしてきても、それに対応してオフェンスを遂行しないといけないです。また、簡単なターンオーバーからファストブレイクに繋げられて簡単に失点する、今までやってきた中での課題も出ていました」
鎌田は課題ばかりに目を向けたが、それは自身のパフォーマンスにも納得がいかなかったからだ。最終クォーター開始2分半、鎌田はゴール下のフリーのシュートを連続で外してしまう。会場は悲鳴に似たため息が漏れ、その間にワンマン速攻を許した。直後、マイケル・ヤングジュニアの3ポイントシュート、ニック・ファジーカスの3点プレーで逆転したことで鎌田のミスは致命傷にはならなかったが、「あそこは決めなきゃいけないですし、しかもああいう展開だったので。そこは責任を感じていますし、結果的に勝ってくれてチームのみんなに感謝しないといけません」と、鎌田は言う。
わずかなプレータイムで結果を残すことは簡単ではない。特に外国籍選手や帰化選手を相手にする日本人ビッグマンにとっては、この『繋ぎの数分』で結果を出すことが求められるため、その難易度はさらに上がる。それを分かっている鎌田は「どういうメンツでも戦えるように準備していますし、シュートも積極的に狙って、責任を持ってプレーしないと自分が出ている意味がなくなってしまう」と、その時間に懸けている。
ゴール下をミスした際の悲鳴に似たため息は、それだけ応援されていることの裏返しでもある。鎌田もファンの後押しは感じていて「ありがたいですし、それだけ応援してもらえるからこそ期待に応えたい」と言う。唯一平均プレータイムが2桁を超えた2017-18シーズンを除き、今シーズンはここまで平均8.16分の出場と出番を増やしている。信頼を挽回し、自身の力を証明する時間はまだまだ残されいる。