ドンチッチが30得点17アシストも、ウォリアーズがチーム力で上回る
第3クォーター残り2分、マブスのタイムアウト明け。両チームとも自分たちのポゼッションでの再開と思っており、それぞれのオフェンスエンドにいた。審判はウォリアーズのジョーダン・プールにボールを渡し、ケボン・ルーニーが簡単にダンクを決める。マブスは審判のミスだと抗議したが受け入れられず、試合はそのまま進められた。マブスのオーナー、マーク・キューバンは激怒し、「NBA史上最悪の審判ミス」とSNSに投稿した上で、正式に抗議することを表明した。
マブスを率いるジェイソン・キッドによれば、マブス側のベースラインにも審判が立っており、少なくともその審判はマブスボールでの再開だと思っていたはずだと言う。キューバンは、最初はマブスボールと判定されて場内アナウンスもされたが、タイムアウトの間に判定が変わり、それがマブスに伝えられなかったと主張している。
第4クォーターは大混戦となり、ケガ明けのルカ・ドンチッチが41分の出場で30得点7リバウンド17アシストとフル回転するも、結局ウォリアーズが127-125と勝利を収めた。あれが審判のミスだったとして、勝敗にどれだけ影響を与えたのかは判断しづらい。
ただ、その影響がどれだけあったにしても、ウォリアーズが今シーズンのベストと言うべきパフォーマンスを見せたのは確かだ。
西カンファレンス6位のウォリアーズと、それを0.5ゲーム差で追うマブスの一戦は、シーズンすべてを左右するほどの重みを持つ試合となった。今シーズン、敵地での試合を極端に苦手とするウォリアーズにとっては、アウェーでの連敗を先のロケッツ戦で止めたとは言え、ダラスでの試合にプレッシャーがあったことだろう。
それでもベンチから出たジョナサン・クミンガが力強いプレーを見せてチーム最多の22得点を記録。ドンテ・ディビンチェンゾが緊張感のある中で攻守にミスなく周囲をサポートし、ドレイモンド・グリーンがクラッチタイムに最高の集中力を見せた。これまでエースのステフィン・カリー次第の面が大きかったウォリアーズが、カリーが3ポイントシュート成功わずか2本の20得点と不発だったにもかかわらず、ドンチッチの大活躍をはねのけて接戦を制したのだ。
勝利に直結したのは、指揮官スティーブ・カーが「勝負どころの守備で信じられないパフォーマンスを見せてくれた」と称えたドレイモンド・グリーンのプレーだ。第4クォーター残り4分でコートに入ったグリーンは、残り3分17秒でクリスチャン・ウッドのドライブを止めようとしてファウルする。これで個人5つ目と後がなくなったが、追い詰められたことで集中力が増した。
ディフェンスリバウンドを取りこぼしてマブスにセカンドチャンスを与えたものの、ジョシュ・グリーンからスティールしてボールを奪い返し、ファストブレイクに繋げる。これが決まらず逆速攻を食らったものの、ここでもジェイデン・ハーディーのアタックを食い止めた。攻めに転じればカリーとのピック&ロールからアタックしてバスケット・カウントをもぎ取り、大きなガッツポーズとともに咆哮した。
これでウォリアーズが勝ち越し、さらに残り30秒から、ゆっくりとボールを運ぶカリーと阿吽の呼吸で連携が成り立つ。グリーンはゴール下でスクリーンを掛けてカリーがドライブするスペースを作り出し、イージーレイアップを演出。ボールには触れていなくても『アシスト1』を付けたくなるようなオフェンスを作り出した。
試合後のドレイモンドは「僕たちは冷静に自分たちの狙ったシュートを作ることができた。終盤はすべてのポゼッションでシュートを決めたんじゃないかな。そのおかげでトランジションで攻められることなく、落ち着いて守ることができた。オフェンスがディフェンスを助けてくれたと言えるだろうね」と語る。
「僕たちにとって大きな勝利だ。僕たちの自信を高める、本当の勝利だった。心臓には悪いけど、それも良いことだ。あと8試合、まずはホームで強さを発揮し続け、ここ何試合かのようにロードでも勝っていきたい」
ダラスでの大一番を制したウォリアーズは6位をキープ。レギュラーシーズンは残り8試合で、うち5試合が29勝7敗と得意のホームゲーム。『王者』は開幕から多くの問題を抱えて苦しんだが、プレーオフのストレートインを視界に収めた。