ようやくケガから復帰、リーグ戦復帰で6得点
12月8日、川崎ブレイブサンダースは横浜ビー・コルセアーズとの神奈川ダービー初戦を94-55で快勝した。第1クォーターで31-12といきなりの大量リードを奪うと、そのまま常に2桁のリードを保つ余裕の展開だった。それでも課題をあえて挙げるとすれば、先発陣が主に出場した第1、第3クォーターはともに得点が30を超えたのに対し、控え陣がコートに立つ時間が多かったが第2、第4クォーターでは計30点に終わっていることだ。
そこには辻直人の肩の負傷による離脱で、リーグ随一のシックスマンである藤井祐眞が先発に回った影響もある。しかし、これから再び平日開催が増えるリーグ戦、さらに短期決戦となる年明け早々の天皇杯と、チームの総合力が問われる場面は確実に増えてくる。
ベンチメンバーの貢献、特にベンチから試合の流れを変えられる存在として注目したいのが谷口光貴だ。昨シーズン後半戦に出場機会を増やし、その経験を生かしてのステップアップが期待された谷口だが、開幕直前に左股関節を負傷し無念の離脱。当時のチームリリースでは全治4週間と発表されていたが、ケガが長引いたことで先週末の天皇杯でようやく実績復帰を果たしている。その谷口は昨日の試合、リーグ戦で今シーズン初出場を果たすと約12分のプレータイムでフィールドゴール6本中2本成功の6得点、2スティールを残した。
「今日は自分で何かできたというより、チームのみんながチャンスを作ってくれて、自分がシュートを打てたという感覚です。まずはそこからですし、シュートを決めて結果を残せれば自分でも仕掛けられるようになってきます。一方、ディフェンスは今日、出てすぐにやられてしまいました。そこができなかったら試合には全く出してもらえないと思うので、これから注意してやっていきたいです」
このように今シーズンのBリーグ初戦を振り返る谷口だが、北卓也ヘッドコーチも同様の意見で、「谷口については交代で出た直後、ディフェンスが全くダメでした。そこが彼の課題で、出る前に試合を見ながら準備をしないといけないです」と守備を課題に挙げる。
辻直人の離脱で2番の得点力が懸念材料となる中、同じ2番をこなす谷口への期待は大きい。「オフェンスに関しては良いタイミングでシュートを打っていましたし、持ち味を出していたと思います。彼に期待するのはオフェンスです。ただ、ウチではディフェンスをしっかりしないといけないので、ハードにやってほしい。また、チャンスをあげたいなと思います」
「課題はあるので一つひとつ整理して」
谷口自身も「辻さんがいないのは自分にとってはチャンスでもあります。そこを無駄にしない。与えられたチャンスでいい結果を出せるようにやっていくだけです」と覚悟を見せている。
「開幕直前ですごく落ち込みましたし、気持ち的に下がる部分もありました。次の日からは切り替えられてマイナス思考になることはなかったですが、思ったより時間が掛かったことで焦りはありました。ただ、慌てて復帰して再発するのが一番避けたかった。時間はかかりましたが、しっかり治して今は万全の状態です」と谷口は、故障から復帰までの道のりを振り返る
そして「待ちに待っていたというより、やっと戻って来られたという感覚です。やらなければいけないこと。課題はあるので一つひとつ整理していかなければいけない。まずはコートに入って最初のプレーを大事にこなしていくことです」と今後への意気込みを語ってくれた。
藤井が先発に回ったことで川崎に求められる、ベンチから点を取れる日本人選手の存在。その役割を谷口が担えることができるかは、川崎がシーズン中盤戦でよりステップアップしていくための一つのカギとなってくる。