ヨナス・バランチュナス

バランチュナス「みんながボールに絡み、お互いのためにプレーする」

ペリカンズのエース、ザイオン・ウイリアムソンは年明け早々にハムストリングを痛めて戦線離脱し、いまだに復帰できない。ザイオンがチームを引っ張っていたシーズン前半戦は23勝14敗だったが、その後は負けがかさみ、順位をどんどん落としていった。今は西カンファレンスの11位。レイカーズと並んでプレーイン・トーナメント圏外に位置している。それでも10位には0.5ゲーム差で、ここからの巻き返しは不可能というわけではない。

ザイオンが最後にプレーしたのは現地1月2日。もう3カ月以上もプレーしておらず、復帰の見込みが立っていない。現実的に考えれば、今シーズンの残る10試合で戻って来るのは難しそうだし、仮に戻ったとしても試合勘を取り戻す頃にはシーズンが終わる。

しかし、残された選手たちは終盤戦で勝ちを拾い、ポストシーズンに駒を進めるつもりでいる。現地3月21日にはスパーズに119-84と大勝。第1クォーター後半に13-2のラン、第2クォーターの頭から10-2のランと、序盤から攻守が噛み合ってスパーズを突き放し、そのまま勝ちきった。ブランドン・イングラムが32得点7アシスト、ヨナス・バランチュナスが19得点15リバウンド5アシストと活躍している。

ロケッツとスパーズを相手に1カ月半ぶりの連勝を挙げたが、その前のロケッツ戦では112-114と敗れている。この時、試合後のロッカールームでバランチュナスはチームメートに怒りをぶつけた。「戦うのを止めてしまった。リラックスして、寝ているみたいだった。勝つために必要なプレーができていなかった」とバランチュナスは言い、何人かの選手も発言したそうだ。

それがペリカンズにとっては転機になり、オフェンスを変えたことがチームに勢いをもたらした。シーズン前半戦、ザイオンにすべてを託していた選手たちは、そのスタイルに慣れていた。イングラムが復帰すればイングラムに、そしてベテランのCJ・マッカラムにボールを預けて、『何か良いことが起きるのを待っている』感があった。

そこから他の選手もより多くボールを持つようになり、プレーを判断する機会を増やした。具体的にはマッカラムがトップ・オブ・ザ・キーでボールを持たず、その役割を他の選手が受け持つ。マッカラムがオフボールで動き回るようになると、相手のディフェンスは乱れ、ペリカンズのボールムーブは改善され、アシストが伸びた。

バランチュナスはロケッツ戦に勝った試合後、「すごく良くなった」と興奮気味に語っている。「みんなで協力して戦えた実感がある。みんながボールに絡み、お互いのためにプレーしていた。良いスクリーンをセットして、空いているチームメートにパスを出す。そんなプレーが連続して起こるのは素晴らしいし、楽しいよ」

イングラムはマッカラムのオフボールでの動きについて「それをどう生かすか、全員で一緒に考えるのが大事だ」と語る。「ナジ(マーシャル)にトレイ(マーフィー三世)、ダイソン(ダニエルズ)やジョシュ(リチャードソン)が僕らの力をより引き出せるよう、この何日かで取り組んでいる。上手く活用できればプレーはすごく楽になるよ」

ロケッツもスパーズも下位に沈んで消化試合をこなす状況で、強いチームを相手にした時に機能するかはまた別の話だが、ペリカンズの選手たちは良い手応えを得ている。レギュラーシーズン最後の最後でチームが良い方向に進化し、プレーオフの枠をつかみ取ることができるか。バランチュナスは「シーズンももうこの時期だ。やるしかないんだ」と気合いを入れている。