河村勇輝

ターニングポイントに定めた前回の対戦のリベンジ果たす

3月15日、横浜ビー・コルセアーズは川崎ブレイブサンダースとの『神奈川ダービー』に挑み、接戦の末81-78で勝利した。その結果、横浜BCは中地区首位に浮上している。

横浜BCはどちらもゲームハイとなる24得点10アシストを記録した河村勇輝を中心に、勝負どころでしっかりと得点を挙げて勝利をつかんだ。青木勇人ヘッドコーチは「チーム全員による大きな勝利だった」と話し、次のように続けた。「しっかりタイムシェアをしながら我慢の時間帯を乗り越えて、役者がゲームを決めてくれました。見応えがある試合だったと思います。クラブとして、『神奈川ダービー』でとにかくなんとしても勝つという気持ちで戦えたゲームでした」

指揮官も口にした『神奈川ダービー』は、天皇杯での対戦を含めると今回が今シーズン3回目。とどろきアリーナで行われたリーグ戦最初の対戦では、横浜BCが38点差の大敗を喫していた。だからこそ横浜BCにとって、ダービーや地区首位決戦という括り以上に前回のリベンジの思いが強かった。河村は言う。

「あの試合がターニングポイントになるって試合の後にも言っていました。チームとしては、毎試合毎試合目の前の相手を倒すことを考えていますが、やっぱり川崎さんの存在はずっと残っています。早く勝ってリベンジしたいという気持ちがあったので、今日勝利できて本当に満足です。でも、2勝2敗で並んだ場合得失点差で自分たちが苦しい状況になってしまうため、あと2戦もしっかり勝ちたいと思います」

横浜BCはゾーンディフェンスに対して森川正明や須藤昂矢らシューター陣が外から射抜き前半をリードして終えたが、後半に藤井祐眞を中心とした川崎の猛攻に遭い、一時ビハインドを背負った。それでも、この試合で積み上げた20点のファストブレイクポイントのうち後半に13点を固めたことで巻き返すと、青木ヘッドコーチが「役者がゲームを決めてくれました」と語った通り、河村が決勝点となる3ポイントシュートを成功させて激戦を制した。

河村勇輝

中地区首位でシーズン終盤戦へ「いつだってチャレンジャーとして毎試合全力で戦う」

勝負の分かれ目となった3ポイントシュートについて河村はこう話した。「あの時間は、クロスゲームが続いていて、2ポゼッション差に抜け出したチームがゲームをコントロールできる状況でした。自分としても、ガードとしても4点差にできたのは良かったです。その後に、3ポイントシュートを決められてしまったことは改善点ではあるものの、1点差の攻防からどっちが抜け出すかという場面の3ポイントシュートは大きかったと思います」

この試合でも勝負強さが目立った河村だが、3ポイントシュートは14本中4本成功と決してシュートタッチは良くなかった。また、第3クォーターには川崎のプレッシャーディフェンスの前に、シュートがエアボールになってしまうこともあった。河村は、タッチを欠く中でも両チーム最多のシュートアテンプトを記録した理由に、チームメートの存在を挙げた。

「いつだってチームメートはシュートが入らない時も『打ち続けろ』と言ってくれます。その期待に応えないといけない部分もありますが、第3クォーターのように打ちすぎたりしないようにバランス良くやらないといけないと思っています。この試合では全く確率良く決めることができなかったですが、最後に自分を信じてスクリーンをかけて打たせてくれる環境に感謝しないといけないです」

また、河村に次ぐ2本の3ポイントシュートを決めた森川や須藤昂矢など、頼れるシューターがいることの強みをこのように強調した。「ガードとして、止められない選手になるためにいろんな選択肢を持ち、最善のプレーをするように心がけています。その中で、森川さんや大庭(岳輝)選手がケガから復帰してきて、シューターがいるからこそ自分の役割もポイントカードらしいスタイルに戻ると思います。頼れるシューターがいるからこそパスも生きてきます」

頼もしい仲間が復帰し、難敵撃破に成功した横浜BC。河村の支配力の向上を感じさせた『神奈川ダービー』となったが、河村は以前までと変わらぬ姿勢でシーズンを戦い抜く。「川崎さんに勝てたことはすごく自信にもなりますし、(敗れてから)3カ月間やってきたことが間違いではなかった証明にもなりました。でも、ここから自分たちの真価が問われます。もちろん、首位のプライドを持って戦いますが、ビーコルはCSに出場したことがないので、いつだってチャレンジャーとして毎試合全力で戦っていきます。そのほうが僕たちの性に合っていますし、そういった風に考えるチームメートも多いです」