水野ヘッドコーチ「中2日は負けた原因ととらえるべきではない」

3月15日、太田市運動公園市民体育館にて群馬クレインサンダーズと宇都宮ブレックスが対戦し、81-55で宇都宮が勝利した。

宇都宮は序盤から、ポストアップと3ポイントシュートを中心にオフェンスを組み立て、着実に得点を積み上げていき、第1クォーターから20-9と群馬を突き放す。群馬も並里成とトレイ・ジョーンズを中心にトランジションバスケを仕掛けるが、宇都宮の堅いディフェンスに阻まれタフショットを連発し得点が伸びなかった。

第2クォーターに入っても宇都宮の勢いは止まらず、積極的なペイントアタックで連続得点を挙げる。さらにディフェンス強度も上がり、ボールを簡単に持たせないほどの激しいディナイで群馬に反撃を許さず36-23で前半を終えた。後半に入っても宇都宮はインサイドを攻め立てペイント内でしっかりと加点。群馬に持ち味のトランジションを発揮される時間もあったが、主導権を渡すことなく第3クォーターに55-37と大量リードを奪い、最終クォーターも付け入る隙を与えずに完勝を収めた。

群馬は宇都宮のディフェンスの前に13のターンオーバーを喫し、さらにオフェンスリバウンドは19本も獲得された。群馬の水野宏太ヘッドコーチは「宇都宮さんがしっかりとプレーをしてきた中で、僕たちがオフェンスでもディフェンスでも答えが見いだすことができなかった試合でした」と振り返った。

群馬は先週末、新型コロナウイルス感染症の陽性判定で延期となっていたサンロッカーズ渋谷との2連戦をこなし、中2日で今節を迎えた。宇都宮の佐々宜央ヘッドコーチは「群馬さんは準備期間が月曜と火曜しかなかった。僕らは先週からこの試合に向けて準備していて、その差はあったと思いますし、コンディションを含めて群馬さんは疲れていたのかなと思います」とコメントした。

水野ヘッドコーチも「影響したかしていないかで言えば、したとは思います」とスケジュールのディスアドバンテージを認めつつも「それは負けた原因ととらえるべきではないと思っています」とコメント。「このスケジュールは分かっていたことなので、それに対する答えをコートで出せなかったことが問題でした。チームとしてこの敗戦をどう受け止めて次に進むのか、課題をどう乗り越えていくのかというのに尽きるのではないかなと思います」と、この試合における難しさと今後の課題を受け止めている。

並里成

ファンの後押しを求める並里「1試合でも多く勝てるように、皆さんの力が必要」

並里成は「土日に試合があったのは言い訳にはできないですけど、試合以外のところでみんなでしっかり調整はできると思います」と選手の視点からスケジュールについて話しつつ、「今日は完敗だったなという感じです」と試合を振り返った。「エナジーもスマートさもフィジカルも宇都宮さんが上回っていました。宇都宮さんはプレッシャーが強いのでカウンタープレーをしたいと思ったんですけど、それがうまく行かず何をしてもダメだったなと。60試合やる中ではこういう試合もあるので、切り替えていきます」

群馬はこの日より、ホームゲームでの声出し応援が解禁となった。並里はブースターに対して「もっともっと歓声は欲しいです」とリクエスト。「相手チームに『ここでやりたくない』と思わせることがホームコートアドバンテージなので、お客さんにはどういう感じでもいいので盛り上がってもらって選手を後押ししてくれればと思っています」と話した。

また、並里は4月15日にこけら落としを迎える『OPEN HOUSE ARENA OTA』に対する思いについても語った。「選手としては新アリーナでプレーすることが目標なので、モチベーションが上がっています。環境が良くなるので、もう一段階良いパフォーマンスを見せられればと思っていますし、1試合でも多く勝てるようにしたいです。チャンピオンシップを目指して頑張っているので、皆さんの力が必要だと思っています」

水野ヘッドコーチもこけら落としに向けて、チームをより成熟させていく覚悟を見せる。「太田市やオープンハウスグループの力を借りて本当に素晴らしいアリーナを作れたのはクラブにとってプラスなことだと思っています。僕たちと一緒に戦ってくれる人たちがいる前で内容を含めていい試合をしたいです。新アリーナオープンの一員でいられるのはうれしいですし、立ち会ってくださる皆さんと良い瞬間を迎えるようにしたいと思っています。それまで、一つひとつ目の前の試合を戦っていって、4月15日に皆さんに良いチームを見せられるようにしていきたいです」

長いシーズンの中には、様々な要因から思い通りにいかない試合が必ず出てくる。しかし、水野ヘッドコーチや並里の言葉からは、この敗戦を次に繋げていくという力強さを感じた。奇しくも新アリーナのオープニングゲームの対戦相手は宇都宮。最高の舞台でリベンジの機会が用意されている。次々にやってくる怒涛の試合を価値あるものに変えた先に、群馬がどのような景色を見るのかが楽しみだ。