今回は「観戦者」、「周辺イベント参加者」の2つのステークホルダーを対象
公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)がEYJapan株式会社と、2023年1月13日、14日に茨城県水戸市において開催された『ドットエスティ B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2023 IN MITO』の経済波及効果および社会的価値を測定・分析し、速報値を公表した。
調査では、オールスターの経済波及効果が1.2億円、ステークホルダーの一部である観戦者・周辺イベント参加者にもたらした社会的価値が1.9億円と試算された。調査によると、スポーツが持つ社会的価値の中でも、特にウェルビーイング(例:幸せと感謝の気持ちを与えてくれた)、ソーシャルキャピタル(例:協調性や信頼感の重要性を感じた)、ヒューマンキャピタル(例:自分も頑張ろうと思った)を感じた観戦者・参加者が多いことが明らかになった。
・オールスターゲームでの体験は、幸せと感謝の気持ちを与えてくれた 90%
・オールスターゲームでの体験を通して、自分も頑張ろうと思った 81%
・オールスターゲームでの体験を通して、協調性や信頼感の重要性を感じた 73%
今回の調査では8つのステークホルダー「観戦者」、「周辺イベント参加者」、「B.LEAGUE、JBA」、「スポンサー企業」、「行政」、「周辺イベント運営」、「メディア」、「市民」のうち、「観戦者」および「周辺イベント参加者」の2つのステークホルダーを対象とした。現在、残りの6つのステークホルダーを対象とした社会的価値の定量評価、投入されたコストに対する価値の大きさ、価値向上策、課題等を分析中であり、調査の最終版の発表は6月を予定しているという。
■調査概要および分析アプローチについて
【調 査 期 間】2023 年 1 月 13(金)~14 日(土)
【調 査 対 象】1 オールスターゲーム観戦者2周辺イベント参加者
【調 査 手 法】アンケート調査
【サンプル数】約600
経済波及効果
オールスターゲームおよび周辺イベントにおける経済波及効果は、当日の来場者が域内で消費をすることにより発生する「直接効果」と直接効果に誘発される「間接波及効果」の合計にて算出しました。直接効果は、来場者の宿泊率を調査した上で、来場者数に宿泊費・飲食費・交通費・娯楽費/サービス費・買い物代などの消費支出単価を掛け施設利用費などの運営費の一部を加えたものに域内自給率を掛けて算出しました。 間接波及効果は直接効果に伴う原材料などの購入によって誘発される財・サービスの生産額である「1次波及効果」と直接効果や1次波及効果による雇用所得増加により消費支出が増加することによる需要増加を「2次波及効果」として算出しました(茨城県経済波及効果分析シートを活用)。
社会的価値
本取り組みの社会的価値の測定・分析にはSROIの考え方を採用しています(速報時点では金額ベースでの報告のみ)。英国マンチェスターメトロポリタン大学 井上准教授、筑波大学の助言を得ながら、 Social Value International が提唱する The Principles of Social Value を参照しています。まずはインパクトまでの因果関係を論理的に整理するためにロジックモデルを構築した上で調査を実施し、金額換算に向けたデータ・指標・算出方法などを含むインパクトマップを活用してインパクトの算出を実施しました。アウトカムの算出に当たって、スポーツの社会的価値を「ウェルビーイング」「ヒューマンキャピタル」「ソーシャルキャピタル」「集団的アイデンティティ」「ヘルスリテラシー」の5つと定義し、ステークホルダーが観戦・イベント参加などを通して得られたそれぞれの社会的価値をアンケート調査により測定しました。インパクトの算出に当たっては、イベントが実施されなくても得られた効果の控除や価値の継続期間を考慮するなど、過大評価に留意して精緻化を実施しています。