富樫勇樹

19得点8アシスト0ターンオーバー、圧巻のパフォーマンス

千葉ジェッツは琉球ゴールデンキングスとの天皇杯決勝戦に87-76で勝利し、4年ぶり4回目の優勝を果たした。

序盤に抜け出した千葉Jは第1クォーターに逆転を許すも、再逆転して以降は一度も追いつかれることなく勝ち切った。ただ、何度も1、2ポゼッション差に迫られる展開となったが、その度に連続得点を挙げて突き放す強さを見せた。特にこの試合で19得点を挙げた富樫勇樹は、琉球に流れが行きそうな場面で顔を出し、3ポイントシュートを沈めるなど逆転を許さない立役者となり、2度目のMVPを受賞するに至った。

富樫も「自分の役割はしっかりできたかなと思います。得点、アシストも含めてですけど、相手のプレッシャーから逃げずにアタックできました」と、自身の出来にある程度満足している様子だ。

富樫は19得点に加えゲームハイの8アシストも記録しつつ、ターンオーバーはゼロに抑えた。ほぼ完璧な内容だったが「たくさんのシュートを外したので完璧だとは思わない」と本人は否定する。それでも、琉球に3本連続で3ポイントシュートを決められ4点差に迫られた最終クォーター残り2分半、ターンオーバーになりかけながらも相手の勢いを止めた3ポイントシュートについては「最後のスリーに関してはかなり大きかったかな(笑)」と自画自賛し「ある程度自分でボールを持って、何かをしたい気持ちは強くありました」と、自らが勝負を決めようとしていた気持ちがあったことを明かした。

富樫勇樹

「やらせる時間と自分がやる時間はある程度意識しています」

日本代表ではコントロールを重視する傾向にある富樫だが、千葉Jではファーストオプションとして攻めの中心を担う。それでも、チームメートの調子を整えることもガードの役割の一つだとし、そのバランスを考えながらプレーしているという。「最初の5分は周りの選手が良い動きをしていたので、自分ではなく周りで行こうと思っていました。自分が乗っている時はボールをもらいに行くことが多いですけど、他の選手のリズムを作る意味でもコーナーステイすることもあります。やらせる時間と自分がやる時間はある程度意識していますね」

そして、富樫は「難しい試合でしたが、去年を上回る優勝という素晴らしい形で天皇杯を終われてうれしいです」と笑顔を見せ、準優勝に終わった昨年の雪辱を果たし、4年ぶりの優勝の味を噛みしめた。

富樫は天皇杯3連覇を達成した当時とはメンバーも違い、純粋に比べることはできないと前置きをしつつ、「動ける選手がいることが強み」と言った。リーグを席巻した高速トランジションの破壊力はそのままに、ジョン・パトリックヘッドコーチの下、ディフェンス力が強化された。最強の千葉Jの再来を思わせる、天皇杯の結果となった。