2000年代のNBA史に残る一枚は、偶然の産物だった
今シーズン限りでの現役引退を表明しているドウェイン・ウェイド、そして彼の盟友レブロン・ジェームズにとって、12月10日にステイプルズ・センターで行なわれるヒート対レイカーズの一戦は、記憶に残る1試合になるだろう。
レイカーズは11月に敵地でヒートと対戦したが、ウェイドは生まれたばかりの長女に付き添っていたため、その試合を欠場した。つまり、10日の試合は、2人がレギュラーシーズンで対戦する最後の試合になる。
同じ2003年のドラフトで指名され(レブロンは1位、ウェイドは5位)、2010年から4年間ヒートで共闘し、2度の優勝を共に果たした2人は、強い絆で結ばれた親友だ。その2人にとって、思い入れ深い一枚の写真が、今週話題になった。
On This Date: 8 years ago today, @KingJames and @DwyaneWade made one of the greatest photos in NBA history ? pic.twitter.com/iRg5TrW5SZ
— ESPN (@espn) 2018年12月6日
これは、2010年12月6日に敵地で行なわれたバックス戦の第1クォーターに見られた光景を収めたもので、速攻からウェイドのノールックパスを受けたレブロンがワンハンドダンクでフィニッシュしたシーンだ。ダンクの迫力も見事に収められているのだが、注目すべきはウェイドのポーズ。彼は、レブロンがポゼッションをフィニッシュさせる前の時点でダンクを確信し、両手を広げてポーズを取った。この試合後レブロンは、「自分が撮影された写真の中で、過去最高の一枚!」と、Twitterに投稿。このダンクから8年が経った先週、レブロンは再び「本当に象徴的な瞬間だ!! どうやって撮影したのか分からない。これを撮影したフォトグラファーは、史上最高だね!」と、Twitterで再び絶賛した。
So ICONIC!! Crazy how that turned out. The photographer who caught this is a ?! SHEESH! https://t.co/ru8MIxlIqr
— LeBron James (@KingJames) 2018年12月7日
この写真を撮影したのは、『AP』のフォトグラファー、モリー・ガシュという人物で、8年前のバックス戦後、撮影舞台裏を明かした。ガシュは、会場となったブラッドリー・センター(当時のバックス本拠地)のベースライン寄りの位置に待機し、手持ちのカメラでレブロンだけを狙っていた。ではどうやってこの一枚を収めたかというと、足元に設置していた無線式のカメラにより、偶然撮影に成功したというのだ。試合後に手持ちのカメラで収めた画像を確認したところ、彼は納得できるクオリティに満足した。ところが、足元のカメラで撮影した画像を確かめてみて、この一枚に驚愕したという。レブロンにだけフォーカスを向けていた多くのフォトグラファーがそうだったように、ガシュは、ウェイドのリアクションに気づいていなかった。もし足元のカメラがなかったら、この瞬間は収められていなかった。
ウェイドにとってもこの一枚はお気に入りで、今年の5月には、引退したらレブロンにサインを入れてもらい、自宅に飾ると語ったほどだ。ヒート時代に幾度となく見られた『阿吽の呼吸』とも表現できる連携は、多くのNBAファンの脳裏に焼き付いている。偶然撮影された一枚の写真が、彼らの関係性を物語っている。