JJ・レディックに打ち明ける「僕は『No.2の自分』に自信を持っている」
ポール・ジョージはカワイ・レナードとともにクリッパーズをエースとして引っ張っている。ただ、チームはいまだNBA優勝に手が届いていない。コンビ結成2年目の2020-21シーズンは、プレーオフに入ってカワイの右膝前十字靭帯部分断裂により失速してカンファレンスファイナル止まり。3年目の昨シーズンはカワイ全休でプレーイン・トーナメントで敗れた。
カワイが復帰した今シーズンがまさに勝負の年となるが、ここまで34勝33敗と苦戦が続いている。巻き返しを図るためにトレードデッドラインにラッセル・ウェストブルックを獲得。これを強力に後押ししたのが、サンダーで一緒にプレーした経験のあるジョージだった。
思えばジョージは、常にフル稼働してチームを引っ張っているにもかかわらず、カワイを前に立たせて自分は一歩引いた位置にいる。サンダー時代も、絶対的エースだったウェストブルックのNo.2を自然に受け入れた。明確な実力差があるならともかく、ジョージの力量は彼らに引けを取らない。
我が強く、だからこそこのレベルまで勝ち上がってきたスーパースターには似つかわしくない行動を、ジョージは自然にやれている。
ジョージはJJ・レディックのポッドキャスト番組『The Old Man & The Three』に出演し、No.2を受け入れる理由を「僕も最初は自分がエースでいたかった。でも、何年もリーグにいて大きなケガも経験して『一人じゃ無理だ』と感じたんだ」と語る。
「インディアナにトレードを要求した結果、サンダーでスーパースターのラス(ウェストブルック)と一緒にプレーすることになり、彼のプレーに自分の力をどうプラスするのがベストなのかを考えた。正直、そこに居心地の良さを感じたんだ」
すべてはNBA優勝のために。その一念がジョージを突き動かしている。意外にも彼はキャリアを通して優勝とは縁がない。だからこそ、優勝するには何が必要かをとことん突き詰め、それを達成するためには自分のエゴを捨てて利他的に動くことができる。
「NBAで大金を稼いだし、プレーで自分のエゴを通そうとは思わない。ただ一つ願うのは優勝すること。僕は高校でも大学でもNBAでも優勝経験がない。だから『どうすれば優勝できるのか』に対して本当に必死なんだ。自分がチームのすべてではなく一部であるべきなら、僕はそれでいい」
「今も自分のプレーがNBAで優勝するためにベストなものだとは思っていない。だから僕は2番手としてプレーすることでベストを発揮できるように学んだ。今の僕は誰とでも、どんなスタイルでもプレーできる。それが自分の役割だ」
今のカワイとの関係性も、彼にとっては心地良いものだと言う。「僕たちは一緒にプレーできる。彼でダメなら僕が引き継ぐ。そのスタイルが僕にとってはとても居心地が良い。全盛期を過ぎてもそれを分かっていない人は多い。実際、それを受け入れるのは大変なんだ。でも、僕は自分に正直でいる。その結果がどうなるかが楽しみなんだ」
ジョージは自分の進む道が間違っていないと信じている。「信じてほしいんだけど、僕は『No.2の自分』に自信を持っているんだ」