代表戦とオールスターの熱気を富山の力に、大塚裕土「今シーズンこそは」の思い

2018/12/07
Bリーグ&国内
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大塚裕土

文=鈴木健一郎 写真=バスケット・カウント編集部、B.LEAGUE

「クオリティはまだ目指すところに達していない」

富山グラウジーズはBリーグになって2年連続で残留プレーオフに回った。そこからの脱却を図るべく、今シーズン開幕前にはチーム改革を断行。ヘッドコーチにドナルド・ベックを迎え、ロスターの大半を入れ替えた。戦力は大幅アップし、コート上で展開されるバスケットは華やかなものとなり、シーズン序盤戦を終えて10勝9敗と貯金を作っている。

まずまずのスタートを切ったように見えるが、加入2年目を迎えた大塚裕土は「出来に関しては満足していません」と言う。その理由の一つは、チームの目標はもはや残留ではなく、プレーオフ進出が最低限のノルマだと考えているからであり、もう一つは戦いぶりに明確な課題を感じているからだ。

「新しいコーチになって、日本での経験もあって引き出しが多いので、それを自分たちがどう吸収するかの段階です。タレントは揃っているので、そこをどうヒットさせていくか、まだ模索しているところです。噛み合った時は強いんですけど、全体のクオリティはまだ目指すところに達していません。仕方ない部分もありますが、戦える力は十分にあるとコーチは言っていて、それを自分たちがどうパフォーマンスで表すかです」

「昨シーズンから残った僕や宇都(直輝)、水戸(健史)さんとは、『富山ってちょっと嫌なチームだな』と相手に思わせられる雰囲気は出せるんじゃないかと開幕前から話していました。実際に昨シーズンと違うのは、負けるにしても競った試合ができていることで、少しずつその雰囲気は出せていると思います」

大塚裕土

「チャンピオンシップにはどうしても出たいんです」

手応えを感じている一方で、課題も明確になっている。「ジョシュア・スミスがファーストオプションですが、そこからの選択肢のクオリティがまだ出来上がっていません。例えば彼がファウルトラブルになったり、帰化選手がいるチームに対抗するビッグラインナップだったり、今シーズンは彼以外のビッグマンも揃っていて、対応できるメンバーなんですけど、チームとしてのバスケットIQがまだ足りません」

富山が喫した9敗の相手は強豪ばかり。三河と3試合、栃木と4試合、川崎と1試合を戦いすべて負けて8敗。「栃木とか川崎とか、長年同じメンバーでやっているチームの結束力を見ると、まだまだです。負けている時こそ同じ方向を向けば、もっと面白いチームになると思います」と大塚は言う。

B1に残留するのが目標なら勝率5割をキープしていれば十分だ。だが、大塚は昨シーズンの出来事を忘れていない。「昨シーズンも前半戦はかなり良い手応えだったんですけど、ケガ人が出たりメンバーが代わったり、チャンピオンシップに出てもおかしくなかったはずが、最後は入れ替え戦まで行ってしまいました。今のこういう状況で1試合1試合を大切にしないと、また同じことになってしまう。だからこそ今シーズンこそは、と強く思っています」

新しいチームなので、ケミストリーを構築して結束した戦いができるようになるまでには時間を要する。それは大塚も理解しているが、「チャンピオンシップにはどうしても出たいんです」という強い気持ちがある以上、強豪相手にも勝てるようにならないと、目標には手が届かない。

「今、リーグで得点ではトップなんです。だけど失点も一番多くて、ギャンブルみたいな試合ばかりやっています。もちろんそこは少しずつやっていくしかありませんが、ディフェンスはチームとして守れるようにならないといけない。そこが強いチームとの差になっています。もっともっと時間が必要なんですけど、試合はやって来るので」

大塚裕土

地元の熱が高まるオールスターに「全勝で行きたい」

大塚は今シーズンも19試合すべてに先発出場し、攻守にチームを引っ張っている。ただ、指揮官交代により求められるプレーが変わり、その戸惑いはある。今シーズンの富山に純粋なシューターは大塚しかいない。それでもチームルールの枠組みの中で打たせてもらえない現実があり、「昨シーズンはリーグでも1位か2位ぐらいの3ポイントシュートのアテンプトがあったんですが、今シーズンはすごく減って、僕自身リズムをつかむのに苦労しています」と大塚は言う。「ベックはオフェンスもディフェンスも遂行する力を求めます。僕個人としては『打ちたい』と思う場面もあるんですけど、そこはヘッドコーチのバスケットボールをやらないとダメだし」

それでも、ここからが大塚の成長であり、今後が期待できる部分でもあるのだが、一番の武器である3ポイントシュートを半ば封印しなければならない状況を刺激に変えようと彼は努力している。「大変ですけど、3ポイントシュートがなくても得点はむしろ増えていて、フリースローをもらえる数も増えているし、それはコーチが引き出してくれたものです。その中で『ここはこうしていきたい』ということをコーチが受け入れてくれる部分もあります」

「今までは数字が下がった時に受け身になって、コーチが何か言ってくれるのを待っていた部分があったんですけど、今は自分でもアクションを起こしたりだとか、それがプレーの面でプラスになっていると感じます」

話を聞いたのは12月4日、Bリーグオールスターの会見後だった。先週末は代表戦が、1月にはオールスターが富山で開催される。「地元の熱は高まっています。Bリーグになる前から比べると違いは大きくて、チームカラーのウェアを皆さんが着たり、応援の掛け声だったり、プロスポーツ観戦のスタイルが定着して、どんどん盛り上がっていると感じます」と大塚は言う。

今回のオールスターには大塚だけでなく、宇都がリーグ推薦で、水戸がSNS投票で、富山から3選手が出場する。地元でのオールスターの盛り上がりには、出場3選手の活躍はもちろん、富山が勝って地元ファンに良いインパクトを与えるのも大事だ。「11月はかなり厳しい日程でしたが、貯金1で終えられました。12月は相性の良いチームとの対戦が多いので、昨シーズンの前半戦よりも良い成績にしたいです」

明日からリーグ再開。天皇杯とオールスターの1月の中断期間まで1カ月で12試合を戦う。大塚は「全勝で行きたいと思います」と意気込みを語った。普段は言葉を選んで話す彼にしては珍しいビッグマウスだが、それだけ強い気持ちでリーグ再開を迎えるということだろう。