カイリー・アービング&ルカ・ドンチッチ

「ルカはパーティーの準備ができていたね。僕もそうだった」

トレードで獲得したカイリー・アービングのデビューからマーベリックスの成績は1勝2敗、『特効薬』として期待していたような効果は出ていなかった。しかし3月2日のセブンティシクサーズ戦では、ルカ・ドンチッチが42得点、カイリーが40得点と爆発。相手ディフェンスがどう対応しようが止められない強力デュオがついに機能した。

ドンチッチはフィールドゴール22本中13本成功の42得点、12アシスト。カイリーはフィールドゴール22本中15本成功の6アシスト。チーム全体ではシクサーズより21本多い48本の3ポイントシュートを放ち、そのうち25本を決めた。

シクサーズにはリーグ最強リムプロテクターの一人であるジョエル・エンビードがいるにもかかわらず、ドンチッチとカイリーはピック&ロールでズレを作り出し、次々とレイアップに持っていく。2人合わせての2点シュートは23本中15本成功と確率が高かった。ドンチッチにダブルチームを仕掛けたいところだが、カイリーも同じように好調となればそうもいかない。2人に集中すればキックアウトから他の選手の3ポイントシュートに持ち込まれる。ドンチッチが13本中7本、カイリーが8本中6本成功と、この2人の3ポイントシュートも絶好調だった。

前半は接戦となったが、第3クォーターを39-24と圧倒したマブスが最大25点のリードを奪う。第4クォーターに入って4点差まで詰め寄られるが、残り8分半に右コーナーからドライブしたカイリーがオフバランスのジャンプシュートを決めてバスケット・カウントを獲得。カイリーはその後にタイリース・マクシーが目の前にいるにもかかわらず正面からの3ポイントシュートを打ち切って決め、続いては速い仕掛けからのドンチッチの3ポイントシュートと、ビッグプレーの連発でシクサーズを突き放した。

試合後のカイリーは「ルカはパーティーの準備ができていたね。僕もそうだった」と語る。「ファウルが多いタフなゲームだったけど、チームメートに助けてもらって戦い抜くことができた。ここまで勝てる試合を落としていたから、最後まで集中を保つのが大事だと思っていたし、今日はそれができた。チームとしての戦いを徹底でき、試合に向けた準備がしっかり結果に繋がったのがうれしい」

ドンチッチとのコンビが機能した理由として、カイリーは「アドバンテージがどこにあるのかを見極め、それを最大限に生かすこと。連携を意識しながらも、それぞれが積極性を出し続けることだ」と語る。

ミドルレンジのシュートや3ポイントシュートが今後もこれほどの高確率で決まり続けることはないにせよ、ドンチッチとカイリーのコンビネーションを軸に、ワイドオープンの良いチャンスを作り出すオフェンスは継続できるはず。むしろ試合を重ねれば重ねるほど、他のチームメートも巻き込んだ連携は良くなっていくだろう。

最も得点効率の高いコーナースリーのチャンスを、今シーズンのマブスは1試合平均11.5本作り出しており、これはセルティックスを抑えてリーグトップの数字。ドンチッチがいるだけで、彼を抑えるために相手はダブルチームを仕掛け、外が空きやすくなる。ドンチッチだけでなく、スペンサー・ディンウィディーもこのプレーを得意としていたのだが、カイリーはさらに上手い。カイリー加入後、1試合あたりのコーナースリーは13.5本へと増えている。

カイリーは今後についてこう語る。「僕がこれまでのキャリアを通じてやってきたように、常にアグレッシブに、レベルの高いバスケをやっていきたい。自分のアピールや誰かとの比較を考えるんじゃなく、仲間と力を合わせて今日のような良いプレーをしたい」

ディフェンスの課題は依然として存在するし、いくら良い形で勝っても1勝は1勝でしかなく、ここまで33勝31敗のマブスがプレーオフのストレートインとなる西カンファレンス6位をライバルから守らなければならない立場であることに変わりはない。それでも、ドンチッチとカイリーを組ませた爆発力がどれほどのものかが確認でき、今後に期待を持たせる試合になったのは確かだ。