CJ・マッカラム

『デイム・タイム』を発動させず、ペリカンズに貴重な1勝をもたらす

現地3月1日、CJ・マッカラムは初めてデイミアン・リラードと対戦した。昨シーズン途中にマッカラムがトレイルブレイザーズからペリカンズにトレードされ、8年半に渡る2人のコンビは解消された。すでにマッカラムは古巣との対戦を経験していたが、昨シーズン後半はリラードが戦線離脱しており、今シーズンも11月の試合ではリラードが欠場。2人が戦うのは今回が初めてのことだ。

試合はリラードが両チームを通じて最多の41得点を挙げたが、第4クォーターを31-19と上回ったペリカンズが121-110で勝利している。ザイオン・ウイリアムソンがケガで離脱してからずるずると順位を下げるペリカンズは4連敗中で、何としてでも勝ちたいという気持ちがあり、マッカラムは若いチームのベテランとして、攻守に激しいプレーでペリカンズを引っ張った。

ロッカールームに戻ると、チームメートから守備を絶賛されたと言う。マッカラムはシュート力とオフェンスのバスケIQに長けた選手で、守備はどちらかと言えば苦手なタイプだ。それでもこの試合では、ブレイザーズのエースであるリラードのマークをマッカラムが買って出ていた。

「攻守でどのように戦うべきか、最初に例を示したかった」とマッカラムは言う。「誰にとっても厳しい相手だけど、僕は彼のことをよく知っている。彼とどうマッチアップすべきか、最初に見せたつもりだ」

長年コンビを組んだ盟友とのマッチアップについてマッカラムは「僕らは長い間、練習での1対1を数えきれないほどやってきたから、最初は練習のような感じがした。奇妙な感じだったよ」と言う。

結果としてリラードはフィールドゴール22本中12本成功の41得点と活躍しているのだから、『マッカラムが抑えた』という表現は適切ではないのかもしれない。しかし、前半に18得点、後半に入ってギアを上げて第3クォーターだけで15得点を挙げたリラードが、最終クォーターでは8得点しか奪えなかった。これはマッカラムの、そしてペリカンズの作戦勝ちだ。

マッカラムはリラードにオールコートでプレッシャーを掛け、少しずつ疲弊させた。フリースローを多く与えたが(リラードは試合を通じて16本中15本を成功させている)、3ポイントシュートは9本中2本成功と一番の武器を使わせず、リズムをつかませなかった。これが最終的に勝負どころでのリラードの失速を呼び、誰にも止められない『デイム・タイム』を発動させなかった。

ペリカンズの指揮官、ウィリー・グリーンも秘策を用意してあった。実際はヨナス・バランチュナスとラリー・ナンスJr.がケガで欠場した苦肉の策なのだが、勝負どころでハーバート・ジョーンズをセンターに置くスモールラインナップを採用。サイズはなくなったが機動力が上がった。

ジョーンズとナジ・マーシャル、ブランドン・イングラムとトレイ・マーフィー三世、そしてマッカラムというペリカンズのクロージングラインナップは粘り強かった。ピック&ロールを使ってビッグマンを狙い、スピードのマッチアップで仕掛けるか、追い掛けられない距離まで下がって3ポイントシュートを打つのはリラードの得意な形。それを封じられると、ブレイザーズそのものが失速することになった。

マッカラムは36分のプレーで24得点7リバウンド7アシストを記録。今シーズン13回目の40得点超えを記録したリラードとは違って、マッカラムはスタッツで人々の注目を集めるタイプではない。だが、彼がコート上で示す価値は多くの人に理解されている。

ポートランドのファンは今でもマッカラムを愛しているし、それは試合中の歓声からも明らかだった。マッカラムは言う。「ここには仲間や友人、一緒に働いてきた親しい人たちがいる。彼らとの対戦は感情がこみ上げてくるよ。でも、それも僕にとっては挑戦だ。試合を尊重し、激しく戦い、全力で勝ちに行く」

こうしてマッカラムは、ペリカンズがプレーオフ戦線に踏み止まるために大事な勝利を手にして、愛着あるアリーナ、モダ・センターを去った。