ドライブ、ダンク、アシスト、3ポイントシュート…試合開始からアグレッシブにプレー
FIBAワールドカップアジア予選Window6最終戦となった、2月26日のバーレーン戦。吉井裕鷹(アルバルク東京)は、19分39秒の出場時間で13得点3アシストというスタッツを記録した。
スターティングファイブに起用された吉井は、試合開始直後からアグレッシブにプレー。ファーストオフェンスで1対1 からのドライブで先制点を奪うと、次のオフェンスでも思い切りよく3ポイントシュートを放った。ディフェンスではバーレーンのドライブへの対応に手こずり4ファウルを喫したが、オフェンスではドライブからのダンク、井上宗一郎(サンロッカーズ渋谷)へのキックアウトパス、3ポイントシュートなど様々なプレーで会場を沸かせた。
バーレーン戦で吉井が見せたこのようなオフェンスは、熾烈な選手選考に影響されたところもあるかもしれない。吉井が2得点に留まった23日のイラン戦で、ディベロップメントキャンプから昇格した金近廉(東海大2年)がチームハイの20得点を挙げた。昨年7月のオーストラリア戦よりロスターに加わり、スタメンとしてのポジションを確立しつつある吉井ではあるが、同じウイングプレーヤーかつ、同郷である大阪出身の金近の鮮烈デビューに、少なからず危機感を覚えたのではないだろうか。
「毎日の練習から『負けない』という意気込みを持って頑張りたいです」
試合後のメディア対応で「代表活動を通して自信はつけられましたか?」と尋ねられると、吉井は以下のように話した。
「トムさん(トム・ホーバスヘッドコーチ)にも『自信を持て』と言ってもらっているし、自分でもそうセルフコントロールしたいとは思っているけど、やっぱり代表活動の1日1日がトライアウトのようなものなので。1本シュートを決めたら自信をつける、1本決めたらまた自信をつける、ということの繰り返しでやってきました」
このコメントにも表れているように、吉井は慎重で、あまり大きな夢を掲げないタイプだ。しかし、ワールドカップ本番でのロスター入りに対しては当然意欲的で、「『1日もムダにできないんだ』と口に出して自分に言い聞かせて、日々成長していきたい。毎日の練習から、同じポジションの選手やマッチアップする選手に『負けない』という意気込みを持って頑張りたい」と、力強いコメントも残している。
比江島慎(宇都宮ブレックス)、須田侑太郎(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、西田優大(シーホース三河)、井上宗一郎(サンロッカーズ渋谷)、金近……。ただでさえ熾烈なウイングのロスター争いには、渡邊雄太(ネッツ)、馬場雄大(レジェンズ)、富永啓生(ネブラスカ大3年)ら海外組も加わる。吉井は彼らとの競争に勝つためのポイントとして安定性を挙げた。「正直、シュートを積極的に打つとか、それが入る入らないよりもミスをしないことが一番大事だと思います。Bリーグでも常に意識していこうと思っています」
A東京における吉井は平均5分30秒のプレータイムで1.4得点、1.1リバウンドと、日本代表選手としてはかなり寂しい内容だ。それでも吉井は「監督が求めているバスケはもっと高いし、これが僕の実力だと思う」と現状を受け止めつつ、「これからレベルアップしていくしかない」と決意を込める。Bリーグ後半戦、吉井がどのように成長し、ワールドカップのロスター入りの足がかりを築いていくかに注目したい。