文・写真=泉誠一

僕が決めるべきシュートを決められなかったのが敗因

右大腿の怪我により戦線離脱していた西川貴之が、12月になり復帰を果たした。復帰5戦目となったアルバルク東京戦は10点を挙げたが、レバンガ北海道は終盤に引き離され、73-82で惜しくも敗れてしまった。ヘッドコーチの水野宏太は、21個のターンオーバーを敗因に挙げた。もう一つ、西川は「僕が、第4クォーターの決めきるべきシュートを決められなかったのが敗因」と付け加えている。

53-53の同点で始まった第4クォーター、先手を取るべく思い切り良いドライブでゴールを狙った西川のシュートが外れた。55-56となり、再び逆転を目指してペイント内へ攻め込むもボールはリングから転げ落ちる。さらに55-60と点差を開かれた場面では、タイミング良く3ポイントシュートを放ったがこれもネットを揺らすことができず。最終クォーターのシュートは4本中1本も成功せず、西川が勝利を引き寄せることはできなかった。

それらの場面を振り返れば、「自分で決めに行くという気持ちで行ったので迷いはなかったです。シュートも入ったと思ったんですけど、入らなかったのは自分の実力不足が出てしまいました」と反省。ゴールこそ決められなかったが、強気なドライブでディフェンスをこじ開けた積極性は昨シーズンにはあまり見られなかったものだ。

「このチームで僕は得点を取ることを求められているので、3ポイントシュートだけではなく、ドライブだったり、そこからファウルをもらったり、いろんなことをして得点につなげていかなければいけないと思っています。今までは3ポイントシュートだけでしたが、ドライブを仕掛けていくことを今シーズンは心がけています。今日もアタックまでは良かったのですが、もっとフィニッシュ力をつけていきたいです」

積極的な姿勢はコート上だけではない。ベンチで水野ヘッドコーチにアドバイスを聞きに行く姿が、復帰戦となった12月2日の川崎ブレイブサンダース戦から見られていた。「今年は日本代表に選ばれたことで自覚が出てきており、チームメートとのコミュニケーションは昨シーズンよりも間違いなく増えています。精神面での成長が徐々に始まってきているんだと思います」と水野ヘッドコーチも評価している。

しかし西川に聞けば、プレー面の積極性は「日本代表に選ばれた影響が大きい」と言うが、コミュニケーションについては別の理由があった。

「ケガをしていた時に、もっと選手から意見を出しても良いのかなと感じており、復帰したらそこから変えて行こうと思っていました。分からないことをそのままにしていても良いプレーにはつながらないので、自分たちから気付いたことをヘッドコーチに言っていかなければチームとしても変わらないと思います」

客観的にチームを見られたことで課題が見え、積極的に改善している。

チームに良い流れをもたらせるような選手になりたい

西川と同じく得点を取ることを仕事としているのが、11月28日に通算9000点を挙げた折茂武彦だ。西川は「ずっと点数を取っていれば、必然的にマークも厳しくなります。それでも点を取り続けるということは、点を取るためにいろんな工夫をされているわけです。いつも試合を見ながら、一緒に練習しながら、いろんなことを学んでいます」と話しており、大先輩の背中を追いかけている。

西川ら多くの選手がケガで戦線離脱していた時期は、練習時に5on5さえできなかった。今ではロスター10人が動けることで、ようやくチームとして機能し始めている。その現れが、敗れはしたがこの試合で19本のアシストを決め、A東京の16本を上回った。

「最近はどこと対戦しても競る試合ができるようになってきており、自分たちの力も付いてきていると思います。アシストの本数が増えていることと、今日は失点が少し多かったですがディフェンス面も以前よりはステップアップできていると思うので、チームとしても良くなっています」と西川も手応えを感じている。

今シーズン、さらにレベルアップするためにも、「もっともっと点を取って、決めるべきシュートは決めなければいけないです。オフェンスの起点となってアシストをもっと増やし、チームに良い流れをもたらせるような選手になりたい」と抱負を述べる早生まれの24歳。

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