試合終盤に退場となるも、奮闘ぶりを拍手で称えられる
クリッパーズはオールスターブレイク明け最初の試合となったキングス戦で、ダブルオーバータイムの末に175-176で敗れた。それでもバイアウト市場で補強したラッセル・ウェストブルックが新天地でのデビューを果たし、強烈なインパクトを残している。
39分の出場で17得点5リバウンド14アシスト。2度目の延長の残り1分49秒に個人ファウル6つで退場となり、微妙な判定に彼自身は納得できていなかったが、クリッパーズのファンは大歓声で彼の奮闘ぶりを称えた。
試合には敗れたが、失望よりも期待がある。間違いなく、同じロサンゼルスでもレイカーズでは見られなかった光景だ。
『ウェストブルック効果』は試合序盤から明らかだった。指揮官タロン・ルーが「チームにダイナミックさをもたらしてほしい」と期待した通りのプレーを披露。ディフェンスからオフェンスへと素早く切り替え、力強いボールプッシュからペイントエリアを攻め、イージーシュートのチャンスを作り出していく。誤算だったのは、キングスもそのペースに乗り、調子良く3ポイントシュートを決めていったことだ。かくして試合は第1クォーターで40-40、前半終了時点で80-76という超ハイスコアゲームとなった。
第4クォーター残り4分半の時点で145-131と、クリッパーズはこの日最大となる14点のリードを奪い、勝敗は決したかに見えたが、ペースを落とし守備を引き締めてゲームをクローズすべきところで2-16のランを浴び、残り2秒でマリーク・モンクの3ポイントシュートで追い付かれた。
オーバータイムもどちらに転ぶか分からない展開が続いたが、決め手となったのはウェストブルックのファウルアウトだった。その時点では6点をリードしていたが、疲労困憊のチームからダイナミックさが消え、絶好調のモンクとディアロン・フォックスの攻めを止められずに逆転負けを喫した。
それでも、見応え溢れる試合だったのは間違いない。1983年12月にピストンズがトリプルオーバータイムの末にナゲッツを186-184で破った試合がNBAの1試合における最多得点記録となっているが、今回の176-175はそれに次いで得点の多い試合となった。
キングスではフォックスが42得点12アシスト5スティールと活躍。モンクはベンチスタートながら41分プレーし、キャリアハイの45得点を挙げた。ドマンタス・サボニスがファウルトラブルに苦しんで思うようなディフェンスができなかったが、強烈なオフェンスで挽回した。
さらに恐るべきは、キングスは前日にトレイルブレイザーズとのホームゲームを戦い、すぐにロサンゼルスに移動してこの試合を戦っていたことだ。フォックスは言う。「2日連続を言い訳にはできない。むしろ昨日は負けていたから、今日も負けるわけにはいかなかった。ウチはクリッパーズより若いチームだからね」
カワイ・レナードは46分プレーしてシーズンハイの44得点、ポール・ジョージは34得点10リバウンド5アシストを記録。ウェストブルックのデビューが鮮烈だっただけに勝利が欲しかったが、内容は決して悪くない。むしろ事前のどんな想定よりもエキサイティングだった。チームとしての練度が増せば、相当なレベルアップが期待できそうだ。