テーブス海

「スペースがあると本当にドライブが生きてきます」

バスケットボール男子日本代表はワールドカップ予選Window6のイラン戦で96-61の快勝を収めた。連敗を喫していたアジアの強豪からの完勝に、ポイントガードを務めたテーブス海も「今日は自分たちの一番理想的な展開で、良い勝利だったと思います」と胸を張った。

チームハイの20得点を挙げた金近廉を筆頭に、日本は91点中56点をベンチメンバーが稼いだが、この総合力が大差での勝利に繋がった。ベンチから出場したテーブスは13分40秒と少ないプレータイムながら、15得点に加え、チームハイの5アシストを記録した。前回の出場時はシューティングガードとしてプレーしたこともあり、本来のポジションでプレーできる今回は最初から積極的に行こうと考えていたという。

「前回のWindowではシューティングガードとして使われました。それも良かったですが、今回は合宿の時からトム(ホーバス)さんに3番手のポイントガードとして使っていただけると聞いて、1試合目から自分の持ち味をたくさん出そうと思って入りました」

テーブスは放った2本の3ポイントシュートを確実に沈めたが、それ以上に1on1からフィニッシュまで持ち込むドライブが印象的だった。フィジカルで勝るイランを相手にしてもコンタクト負けせず、次々とドライブから得点を奪ったテーブスはスペースの広さがこの結果に繋がったと分析している。

「もちろん、昔からパスファーストではあるんですけど、このシステムはスペースがあるので、スペースがあると本当にドライブが生きてきます。3ポイントシュートも当たっていたので、そうなるとリングへのアタックも有効になります。これからも続けていきたいです」

テーブス海

「自分にしかできないプレーを続けていきたい」

現在の日本は東京オリンピックにも出場した富樫勇樹が不動の先発ポイントガードを務め、ホーバスヘッドコーチのアドバイスによって得点力が大幅に向上した河村勇輝がゲームチェンジャーの役割を果たしている。現状、テーブスの序列は彼らに次ぐ3番手だが、もちろんこの状況に甘んじるつもりはなく「いつでも1番になりたい」と言う。

「トムさんから3番手と言われましたが、信用してくれていないわけではないので気持ち良くやれています。もちろん、競争心もありますし、『ダブルゆうき』に負けたくないです」

当然のように2人をライバル視するテーブスだが、一方で2人の存在がチームにとっても自身にとっても良い影響を及ぼしているともいう。「これからの国際大会では試合によってどういうポイントガードが必要かも変わってくると思います。一人ひとり持ち味も違いますし、3人いるからこそ今日みたいな試合ができるというのもあるので。一緒にやっていて楽しいです」

テーブスが言うように、同じポイントガードであっても三者三様の魅力がある。テーブスが彼らに勝っている分かりやすい特徴は188cmのサイズだ。実際に2人は身長のミスマッチを突かれ、ポストアップから得点を許す場面もあった。ミスマッチになりづらく、身体の強さも持ち合わせているテーブスは自身の強みを深く理解している。「サイズがある分、今日みたいな大きいガードともマッチアップできます。リングにアタックしてビッグマンとコンタクトしてフィニッシュすることもできます。彼らのようなプレーをするのではなく、自分にしかできないプレーを続けていきたいです」

持ち味を存分に生かし、正ポイントガードに向けアピールに成功したテーブス。3人の競争はそのまま日本の底上げに繋がるはず。今後も正ポイントガード争いから目が離せない。