ジョエル・エンビード

勝負どころでグリズリーズのエース、ジャ・モラントを完璧にブロック

ジョエル・エンビードは先週、左足に痛みを抱えながらプレーを続けていて、医師から2週間ほどの休養を取るべきだと指示されていることを明かし、NBAオールスターを欠場するかもしれないと語った。それでも彼はオールスターにスターターとして出場し、セブンティシクサーズに戻って来てリーグ再開のグリズリーズ戦でもプレーした。39分の出場で27得点19リバウンド6アシスト6ブロック。その働きがなければシクサーズの逆転勝利はあり得なかった。

オールスターブレイク明けの試合でシクサーズは立ち上がりが悪く、第1クォーターで22-37と大量のビハインドを背負った。エンビードはこの試合、左足のケガよりも体調を崩しており、本調子とはほど遠かった。

それでもエンビードがいないと守れない状況では休ませられず、第3クォーター終了時点でプレータイムは30分を超えており、第4クォーターの頭から5分間はポール・リードを起用してエンビードを休ませることに。この間にジェームズ・ハーデンとタイリース・マクシーを中心に、追い上げることはできなくても点差を1桁のままで耐えたことが、後の逆転劇へと繋がった。

第4クォーター残り7分を切ったところでエンビードがコートに戻る。シュートタッチの悪さを自覚してタフショットを打たず、スペースを作り出し、味方のプレーを助けることでオフェンスに貢献。一方でディフェンスでは遠慮なしにリムプロテクターぶりを発揮した。残り1分12秒には、ピックからスピードを上げてリムに突っ込むジャ・モラントの前に立ちはだかり、伸びのあるシュートを空中でブロックした。モラントをコート上に叩き付ける強烈な一発だったが、荒々しさはあっても的確にボールを叩くクリーンなブロックで、グリズリーズの勢いを断ち切った。

その後、セカンドチャンスでグリズリーズの守備が崩れたところでトバイアス・ハリスが右コーナーからの3ポイントシュートを決めて106-105と逆転する。試合開始3分後からずっとビハインドを背負っていたシクサーズの逆転劇に、ウェルズ・ファーゴ・センターを満員にする2万1000人のファンが総立ちとなった。

逆転の3ポイントシュートを決めたトバイアス・ハリスはこう語る。「今日はエアボールと、それを見た観客の溜め息から始まったようなものだ。それでも僕たちは『次だ』と打ち続けたのさ。最後のシュートは素晴らしいチームプレーだった。いつも僕が練習しているシュートをそのまま打てたよ。アリーナ全体がものすごく興奮していて、プレーオフかと思うぐらい素晴らしい光景だった」

ハリスの言う『エアボール』は彼の打ったものではなく、第2クォーター終盤にエンビードが打ったものだろう。前半のエンビードはフィールドゴール14本中2本成功の9得点。前半だけで12リバウンド2ブロックと守備でハッスルしていたものの、オフェンスではチームの足を引っ張り続けていた。

それでも集中力を切らさず全力のディフェンスでチームを支えてきた彼に、ご褒美のようなチャンスが最後に舞い込む。ハリスの3ポイントシュートが決まった後、モラントは先ほどの強烈すぎるブロックの残像があったのかペイントエリアを攻められず、ミドルジャンパーを打って外した。そのリバウンドを巡って両チームの選手がフロアにダイブし、こぼれ球がエンビードの前へ転がったのだ。

結果としてエンビードのワンマン速攻となり、ボースハンドダンクが炸裂。こうして最終スコア110-105でシクサーズが劇的な勝利を手にした。試合後のエンビードはこう語る。「攻撃が上手くいかない時はディフェンス面で『怪物』でありたい。両方できたら素晴らしいけど、今日みたいにオフェンスでインパクトを与えられない日でもチームに貢献したいんだ。そういう意味では、今日は良いプレーができたと思うよ」