3度の手術を経て1年半ぶりに復帰したばかり「バスケができていることが楽しいです」
ワールドカップ予選最後の2試合となるWindow6で、トム・ホーバス体制になってから初の代表デビューを果たすのが琉球ゴールデンキングスの渡邉飛勇だ。現在24歳の渡邉は元々、バレーボールを中心に取り組んでいて、バスケットボールを本格的にプレーし始めたのは高校3年になってからと、異色の経歴だ。他の代表選手より経験不足ではあるが、207cmのサイズに機動力、さらにバレーボールで鍛えた跳躍力と恵まれた身体能力を高く評価され、出場機会こそなかったが東京五輪代表にも選出されている。
次代の日本代表のインサイドを支える存在として、本来なら東京五輪以降も代表の常連になることが期待されていたが、五輪後に琉球へ加入して以降は右肘の故障に悩まされ、約1年半の間コートに立てていなかった。しかし、2月5日の富山グラウジーズ戦でようやくBリーグデビューを果たすと、代表合宿に追加招集され今日のイラン戦に出場する12名のロスターに選出された。
日本代表は昨年行われたワールドカップ予選とアジアカップでイランに敗れており、2試合ともゴール下の肉弾戦で相手に主導権を握られたのが大きな敗因となった。それだけにサイズがあり、さらに飛べる渡邉にはリバウンドやショットブロックと、特に守備面で大きな期待が寄せられる。
「3度の手術を行うなど、復帰までは本当に長い道のりでした」と振り返る渡邉は、久しぶりとなる国際大会にプレッシャーを感じていない。それよりも今は、コートに立てることの喜びがはるかに勝っている。「今は何よりもリラックスしてバスケットボールに集中しています。バスケができていることが楽しいです」
また、ホーバスヘッドコーチが組み立てる代表への適応についても手応えを得ている。「最初のキャンプはとてもタフです。いろいろな情報を頭に入れないといけないからです。でもそれが終わると、ドレイモンド・グリーンのような役割をこなすことを目指しています」
グリーンの名前を挙げて示す役割とは具体的に次のようなプレーだ。渡邉は語る。「他の選手がベストなポジションから得点を狙える手助けをしたい。僕の役割はしっかりスクリーンをセットし、DHO(ドリブル・ハンド・オフ)を行う。ガードの選手と一緒に走って、彼らをオープンにして50%の確率で3ポイントシュートを決められるようにすることです」
日本代表の武器である3ポイントシュートのお膳立てをする役割を課す渡邉は、「この仕事を僕はできると思っています。速く走り、ハードにプレーすることは得意です」と自信を見せる。今日の試合、渡邉が他のビッグマンにはないプレーを遂行し、日本代表の戦いの幅を広げてくれるのかしっかりチェックしたい。