ブリトニー・グライナー

ピットマンGM「今日はマーキュリーに関わるすべての人にとって特別な日です」

WNBAのフェニックス・マーキュリーは、ブリトニー・グライナーと再契約で合意したことを発表した。32歳のグライナーは206cmと、女子では随一のサイズと恵まれたパワーを生かしてゴール下を支配し、これまでアメリカ代表としてリオ五輪、東京五輪で2度の金メダルに輝くなど数多くの栄光を勝ち取ってきた。しかし、2022年2月、ロシアリーグでプレーするために入国しようとした際、空港でロシアでは違法となる大麻オイル入りの電子たばこ用カードリッジを所有していたことで薬物密輸、所持の罪で逮捕された。

そのままロシア当局に拘束され、刑務所に収監されたグライナーは裁判で禁錮9年の実刑判決を受けるなど苦しい状況が続いていた。そして、12月にアメリカとロシアの両国間で司法取引が行われ、アメリカで収監されたロシアの武器商人、ビクトル・ボウトとの交換によってグライナーは解放され、アメリカに帰国した。

グライナーは帰国当初に受けたインタビューで、2023シーズンはマーキュリーでプレーしたい意思を表明しており、今回の発表は予想できたものだった。それでもマーキュリーのジム・ピットマンGMは、2013年からWNBAでは同チーム一筋でプレーしてきたグライナーの帰還が正式決定したことに特別な思いを語る。

「私たちはBG(グライナー)が不在の間、ずっと寂しく思っていました。バスケットボールは私たちにとって優先事項ではありません。ロッカールームやこの組織全体だけでなく、私たちのコミュニティーにとって彼女の存在は本当に辛いことでした」

「これからチームのすべての力を使って、コート内外に関わらず彼女のサポートを続けていきます。私たちは彼女が心から愛するバスケットボールに戻ってくることに興奮しています。これは特別な契約で、今日はマーキュリーに関わるすべての人にとって特別な日です」

今月初め、AP通信の取材に対し「私たちはBGが特別な状況にあることを強く認識しています。セキュリティーの専門家、BG、私たちで計画を立てています」とWNBAのコミッショナーが語ったように、グライナーのサポートについてはWNBA全体でも取り組む予定で、彼女の遠征はチャーター機での移動にすると見られている。

これからも彼女の安全面については細心の注意を払う必要があるが、まずはバスケットボール選手としてのキャリア復活へ向け、順調にステップを踏んでいるのは喜ばしいことだ。