ケビン・ラブ

2014年にレブロンに誘われ、キャブズでの挑戦がスタート

ケビン・ラブとキャバリアーズは、最終年を迎えていた契約をバイアウトすることで合意した。ラブはこの後、ヒートと契約を結ぶ見込みだ。

ラブは2008年のNBAドラフトでグリズリーズから1巡目5位指名を受け、すぐにトレードされたティンバーウルブズで6シーズンを過ごした後、2014年にキャバリアーズへと移籍した。当時、得点とリバウンドの両方で突出したパフォーマンスを見せていたラブは、勝てないウルブズでプレーし続けることに疑問を感じていた。ただ、当時のキャブズも勝てないチームで、誘いがあっても気乗りはしなかったのだが、一本の電話が彼の運命を変えた。それはヒートでの挑戦を終え、キャブズ復帰を決めたレブロン・ジェームズからの電話だった。

レブロンはキャブズ復帰を発表した日にラブに「一緒にやろう」と電話を掛けた。ラブはすぐに同意し、キャブズはウルブズとの交渉をまとめて、カイリー・アービングを含む『ビッグ3』結成に至った。コート上のすべてを支配するレブロンと一緒にプレーするのは簡単ではなかったが、移籍1年目で自身初のプレーオフ出場とNBAファイナル進出を果たすと、翌2015-16シーズンにNBA優勝を勝ち取った。

キャブズはその後も2年連続でNBAファイナルに進出。レブロンがレイカーズ移籍を決めた2018年オフ、ラブは遅くとも契約満了を迎えてフリーエージェントになる1年後には、できればもっと早くにキャブズの合意を取り付けて移籍するつもりだったが、キャブズはレブロンのいないチームを再建する軸にラブを据えるべく、4年1億2000万ドル(約160億円)の大型契約で彼を慰留した。

当時30歳だったラブは「今のNBAで優勝を争うには、圧倒的な力が必要になるけど、僕らはゼロから再出発をしなければならない。チームがそれだけの力を付けるまで、僕が衰えずにいられるかどうか、決して簡単じゃないチャレンジとなる」と、その覚悟を語っている。

再建1年目の2018-19シーズンは19勝63敗、2年目は19勝46敗で『バブル』に参加できず、3年目も22勝50敗と、キャブズはドアマットチームに転落した。ラブも勝てない日々に憔悴し、指揮官のJ.B.ビッカースタッフと衝突し、チーム内でトラブルを起こすなど理想のリーダーであり続けることはできなかった。そして皮肉にも、44勝38敗とチームが上向いた昨シーズンに、ルーキーのエバン・モーブリーに経験を積ませるために控えに回ることに。今シーズンはさらに役割が減り、プレータイムは20.0分となり、得点は8.5とキャリアで初めて2桁を割った。

現地1月24日のニックス戦を最後に、彼はローテーションから外れることに。これはトレードデッドラインを見据えての措置だろうが、トレードがまとまることはなく、今回のバイアウトへと至った。レギュラーシーズンとポストシーズンを合わせ、キャブズでのラブは552試合に出場。クラブ初優勝をもたらし、その後の苦しい時期まで支えた貢献は非常に大きい。彼の背番号『0』は、いずれキャブズの永久欠番となるだろう。

バイアウトの発表を受け、ラブはSNSにこんなメッセージを投稿している。「伝えたいことはたくさんあるけど、今は僕の胸にしまっておこう。クリーブランドの人々、オハイオの人々を僕はめちゃくちゃ愛していた。これからもきっとそうだ。ありがとう」

ヒートへの移籍はすでに決定事項と受け止められており、バム・アデバヨはラブ加入を次のような言葉で歓迎している。「逆境を乗り越えて優勝リングを勝ち取り、本当にたくさんの経験をしてきた選手だ。僕らにとってはもう一人のユドニス・ハズレムになる」