名古屋Dの起点となる伊藤を原が抑えて流れを引き寄せる
2月12日、千葉ジェッツがホームで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦した。前半は互角の展開となるも後半に入りゴール下の肉弾戦を制圧するなど、攻守に渡ってプレーの強度で上回ることで一気に突き放し94-76で圧勝。リーグタイ記録となる20連勝を達成した。
序盤は互角の立ち上がりとなるが、千葉Jはオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスを軸とした分厚い攻撃で先行する。だが、名古屋Dも持ち味であるテンポの良いパス回しから守備のズレを作り出し高確率でシュートを沈めることで応戦。第2クォーターに入っても両チームともにオフェンスが好調で、千葉ジェッツが45-43とわずかに前半を上回った。
第3クォーターに入ると千葉Jは原修太のドライブなど、ガードとウイング陣が名古屋Dのディフェンスを切り崩し、合わせのプレーからゴール下でのイージーシュートで得点を重ねる。そして、守っては強度を高めることで名古屋Dのドライブを防ぐと、外角シュートに対しても粘り強くプレッシャーをかけていき、このクォーターで名古屋Dの3ポイントシュートを10本中2本の成功に抑えた。こうして流れをつかんだ千葉Jは残り3分半にリードを2桁に広げると、第4クォーターに入っても主導権を握り続け前日(96-73)に続いてリーグ上位対決で力の差を見せつけた。
千葉Jの指揮官ジョン・パトリックは、次のように勝因を語る。「(前半は互角ながら、後半で圧倒した)昨日と試合の流れが似ていました。オフェンスリバウンドを取り、ディフェンスでプレッシャーをかけて、スティールから簡単な得点が続いてよかったです」
後半に限れば、千葉Jは名古屋Dの強力オフェンスを33点に抑えたが、パトリックヘッドコーチはその立役者として原を挙げた。「後半は伊藤(達哉)選手のマッチアップを原に変えました。伊藤選手はシーズンハイの得点を挙げましたが、原がついている時はほとんど得点を取られなかったと思います」
「僕のところでディフェンスを崩して良い流れになったのは収穫」
今節、名古屋Dは大黒柱である齋藤拓実がコンディション不良で欠場したことを受け、伊藤は2試合とも先発出場すると、持ち味のスピードを生かしたアタックで攻撃の起点となった。今日は15得点4アシストとシーズンベストの数字を残したが、一方で前半はフィールドゴール8本中5本成功の10得点に対し、後半は8本中2本成功の5得点に留まるなど、原の徹底マークが効いていたのは間違いない。
本来、パトリックヘッドコーチの目指すディフェンスは、プレシーズンで披露したような試合を通してフルコートで激しく当たりに行くスタイルだ。しかし、大倉颯太など長期離脱の故障者が続き、なおかつ土日の連戦に加え水曜ゲームも入ってくるBリーグの過酷なスケジュールでは選手のコンディション面を考えると「ハーフコートの保守的なディフェンスをやるしかないです。フルコートのプレッシャーは、ポイントで仕掛けるのみです」と、本来のやりたい戦いを自重している。
だが、その中でも指揮官は、「原はいつも全力でディフェンスをします。ウチのシステムはハーフコートでも、彼はいつもフルコートでやっている感じです」と原の特別な運動量を称賛している。この密着ディフェンスに加え、原はオフェンスでも存在感を発揮した。前半は3ポイントシュートが入らず無得点に終わったが、後半に入ると積極的にドライブを仕掛けて7得点を挙げ、さらにハンドラーとして多くの得点チャンスを作り出した。
攻守に渡って後半で突き放す原動力となった原は、自身のプレーをこう振り返る。「前半は相手がゾーンで守ってきたこともあって、そこまで僕がハンドラーになることが多くなかったです。後半は始まりからハンドラーを務めて得点し、アシストがつかなくても僕のところでディフェンスを崩して良い流れになったのは収穫でした。また、ディフェンスでは後半、達哉について最低限の仕事はできたと思います」
すでに触れているように、今節は2試合続けて同じ展開となった。流れが悪い時にはしっかり我慢し、自分たちの流れが来た時には一気に突き放せる千葉Jの爆発力について原は「今シーズンは、ここぞという時の集中力がみんな一気に同じくらい高まる。それぞれ勝負どころが分かっていると思います」と自信を見せる。
これで千葉は20連勝でリーグの中断期間に入るが、水曜日には宇都宮ブレックスとの天皇杯セミファイナルという大一番が控えている。「天皇杯は一発勝負ですし、宇都宮さんはどんどん良いチームになっていると映像を見て思ったので、気を引き締めていきたいと思います」
原が今日の後半に見せた密着マークで宇都宮のエースである比江島慎をどこまで抑えることができるか。それは試合の行方を左右する注目ポイントとなるはずだ。
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