司令塔不在も、「より自分たちがプッシュする意識を持っていた」
2月11日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは18連勝中の千葉ジェッツと対戦した。前半は得意のトランジションや3ポイントシュートを連発し、リーグトップクラスの得点力を誇る千葉Jと互角に渡り合った。しかし、第3クォーターに連続ターンオーバーを喫して2桁ビハインドを背負ってしまうと、第4クォーターも得意の長距離砲が1本のみの成功に終わり73-96で敗れた。
この試合の名古屋Dは、年明けから欠場が続いている張本天傑や、先日インジュアリーリストへの登録が発表されたモリス・ンドゥールに加えて、ここまで全試合で先発を務めて平均7.3アシストをマークしていた齋藤拓実がコンディション不良のため欠場した。主力を欠いて苦戦を強いられた名古屋Dのショーン・デニスヘッドコーチはこのように試合を振り返る。「今日は、両チームともディフェンスから得点に繋げるスタイルでした。ですが、やはり第3クォーターの連続ターンオーバーで相手を波に乗らせてしまいました。第4クォーターも悪くありませんでしたが、ソフトなターンオーバーやプットバックをやられたりして、どうしても(千葉Jを)乗り越えることができませんでした」
この日ゲームハイの21得点を挙げたレイ・パークスジュニアとともに、ウイングで名古屋Dの持ち味であるトランジションを支えて13得点を記録した中東泰斗は、正ポイントカードの不在が第3クォーターのミスに影響してしまったと悔やんだ。「ポイントガードが少なくて、普段はボールコントロールをしない人が代わりにポイントガードをしていました。やはり難しい部分があって、空いているところにパスができなかったり、逆に難しいところにパスを出してしまいターンオーバーになってしまいました」
また、デニスヘッドコーチはトランジションにおけるフィニッシュの精度を欠いていたと話す。「プッシュしていくことはウチのアイデンティティだと考えていますし、ここは今後もどんどんやり続けるつもりです。でも、今日は判断力だけが足りなかった。走るのは良かったですが、最後の判断力をもう少し上げていかないといけないと感じました」
指揮官が指摘する点について中東は、「拓実がいるときでもプッシュする意識は持っています。今日はポイントガードが少ない分、より自分たちやビッグマンがプッシュしてく意識がありました。千葉さんは中を固めてくると分かっていたので、外にパスをさばくだとか、そういった判断をうまくやっていかないといけないです」と目を向けている。
デニスヘッドコーチが求める『グレートシュート』を突き詰めて
今シーズンの名古屋Dは、全員が走れるトランジションバスケに加えて、日本代表でもシューターを務める須田侑太郎や成功率45.0%を誇るコティ・クラークを筆頭とした精度の高い3ポイントシュートがオフェンスの軸となっている。中東もチームのスタイルと同様に、素早いプッシュを仕掛けることはもちろん、昨シーズンは平均1.6本だった3ポイントシュートアテンプトも、現在は2.1本と微増している。そして、この試合ではオープンスリーを確実に沈めてシーズンハイとなる3本の3ポイントシュートを成功させた。
「オープンで打てる『グレートシュート』を見つけようとショーンさんは言っています。自分は『ここで打てるのでは』と思っていても、『また別のところで良いシュートチャンスがあるかもしれない』という意識を持つようになり、より良いシュートをチームで作ることができています」
デニスヘッドコーチ体制となって今シーズンで2年目となり、中東自身もトランジションとアウトサイドシュートを軸に戦うスタイルを意識してプレーができているという。しかし、今回の試合で93失点を喫したように、改善が必要なディフェンスに目を向けている。「自分のオフェンスは良かったですが、ディフェンスは良くなかったです。前回対戦した天皇杯では、3ポイントシュートを多く決められてしまったのでそこを止めようと話していました。ですが、チェックに行った後のクローズアウトからドライブを多く許してしまったので、そこの対応が必要だと感じます」
中東が語るディフェンスについて、デニスヘッドコーチも「一対一のディフェンスの強度が普通にしか見えませんでした。メンバーが少ない中で、個人のディフェンスにもう少しプライドを持たなくてはいけません。千葉さんのように得点を取れる選手が揃っているチームを相手に、プライドを持ってディフェンスをしないといけないです」と、個々の守備力を指摘した。
シーズン開幕時から西地区の上位争いを繰り広げている名古屋Dは、この試合の結果で首位の島根スサノオマジックと3ゲーム差、2位の広島ドラゴンフライズ、3位の琉球ゴールデンキングスとは1ゲーム差と一歩遅れを取ってしまった。しかし、まだまだ射程圏内であり、首位に返り咲くためにも連敗しないことが重要になってくる。「今回は後半のターンオーバーとリバウンドだけが良くなかったので、明日は今日の前半と同様にディフェンスを徹底して、後半まで継続できるようにやっていきたいです。オフェンスではオープンショットを引き続き決められるように意識します」と中東が意気込むように、40分間を通して我慢強く戦えるかが鍵となる。絶好調の千葉Jに勝利してバイウィークを迎えられるか。今日の第2戦は一戦以上の価値がある試合になりそうだ。
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