川真田紘也

リーグ屈指のサイズを誇る川崎相手に、2日続けてゴール下で大きなインパクト

滋賀レイクスは2月11日、アウェーに乗り込んで川崎ブレイブサンダースと対戦した。中地区首位の強豪を相手に対し、最大18点の大量ビハインドを終盤に3点差にまで追い上げる粘りを見せたが、オープンシュートを決め切れないなど要所での決定力に欠け69-79で敗れた。

これで滋賀はリーグ最下位の5勝33敗とB1残留に向け非常に苦しい状況のまま代表ウィークを迎えるが、一方で明るい兆しが出ていることも間違いない。その象徴と言えるのが、204cmのビッグマン川真田紘也の成長だ。第1戦は20分50秒のプレータイムで9得点5リバウンド3ブロック2スティールの活躍で、最終的に77-87で敗れたが最大28点のビハインドを一時4点差にまで縮める原動力となった。そして第2戦も16分29秒のプレータイムで、4得点に加えオフェンスリバウンド4本を含む5リバウンドをマークした。また、シュートチャンスを作り出すスクリーンプレー、外れたシュートを弾いて味方のリバウンド奪取に繋げるなど、スタッツには残らない部分での貢献も光っていた。

この2日間、主力として滋賀のゴール下を支えた川真田は、次のように前日の課題を修正できなかった点を悔やんでいる。「昨日は前半から川崎さんの勢いにやられ、後半にやっと自分たちの持ち味を出せました。今日は昨日と違って前半から勢いを出していこうと試合に臨みましたが、全く同じになってしまいました」

そして、ビッグラインナップを多用するなど、リーグ屈指のサイズを誇る川崎相手に大きなインパクトを与えた自身のパフォーマンスについて聞くとこう答えた。「ビッグマンとして外国籍選手を相手にするのは当たり前です。そこでリバウンドを取る、ゴール下で相手を止めるプレーをしないと試合に出られません。得点に絡めたり、リバウンドを取ったり、ブロックをできたりした部分で手応えは感じました。そしてチームを勝利に導けたらよかったですが、そこまでの力はなく、負けてしまったのでこれからもっと頑張っていきたいです」

川真田は今節だけでなく、ここ8試合を見ても平均6.9得点を挙げている。また、前述のようなスタッツに残らないハードワークも見事だが、こうして結果が出ている背景について首脳陣の起用法のおかげと感謝している。「最近のビッグマンは、アウトサイドのプレーもこなすなど役割が多いですが、自分は中だけに絞ってもらっています。毎試合、同じ仕事をさせてもらっていることで、試合を重ねていくごとに味方のパスのタイミングに合わせたり、相手のアタックにアジャストできるようになってきました。まだ少ないですけど、そのおかげで最近は得点、リバウンドを取れている感じがします」

川真田紘也

育成枠で代表合宿に参加「12名に選ばれるつもりで代表合宿に臨みます」

今、B1で安定したプレータイムを獲得し、しっかりと爪痕を残している数少ない日本人ビッグマンとして、バスケファンの間で川真田の注目度は右肩上がりとなっている。SNSで彼について言及する投稿も増えている中、「ばりばりエゴサーチしています」と川真田は明かす。

投稿には彼を応援するものだけでなく、目にすると嫌な気持ちになってしまう辛辣なものもある。「10個の良いコメントより、1個の辛いコメントが堪えて、『あぁ、マジか……』となってしまいます」と、メンタルは決して強くないという川真田だが、どんなコメントでも自身について言及するのは興味を持っているからこそとポジティブにとらえている。「いろいろな人がいて、僕を求めてくれる人もいれば、いらないという人もいます。ただ、悪いコメントも、僕を見てくれているからこそ『もっとできるだろ』と言ってくれると、プラスにとらえています。だから、批判的なことも含めて僕について言ってくれる人はファンだと思っています」

リーグ戦は束の間のブレークを迎えるが、川真田は今月末に行われるワールドカップ予選Window6の強化合宿に参加する。彼の立場は育成枠となっていて12名の最終ロースター入りを想定されていない扱いだが、本人は貪欲に代表デビューを狙っている。「育成強化選手という項目はありますが、何が起こるのか分からないですし、自分のプレー次第で代表に選ばれるチャンスはあると思っています。もちろん他の選手に対して遠慮はしないですし、18名に選ばれている以上は12名に選ばれるつもりで代表合宿に臨みます」

川真田が今節で見せたプレーを代表合宿でも継続していくことができれば、12名のメンバー入りを果たしても驚きではない。Bリーグだけでなく、国際舞台でも彼が躍動する姿を見たいと期待する声はこれからどんどん増えていくだろう。そして、彼がこれからの代表活動でさらに成長を遂げることができれば、滋賀のB1残留へ向けこれ以上ない大きなプラス材料となる。