「ドンチッチが戻って来たら、もっと良いバスケができる」
ネッツからトレードされたカイリー・アービングが、新天地マーベリックスでのデビュー戦を勝利で飾った。欠場中のルカ・ドンチッチがベンチ、オーナーのマーク・キューバンが観客席から見守る中、カイリーは持ち前のオフェンス力を遺憾なく発揮した。
クリッパーズを相手に序盤からリードを奪い、第3クォーターに1ポゼッション差まで詰め寄られたものの再び突き放し、110-104で勝利した。ポイントガードとして先発したカイリーは37分の出場でゲームハイの24得点、さらに4リバウンド5アシストを記録している。
会場はクリプト・コム・アリーナ。前日にレブロン・ジェームズがNBAの歴代得点記録を塗り替えた場所だ。カイリーはもともとレイカーズでレブロンと再びタッグを組むことを望んでいたようだが、マブスでのプレーも心機一転で楽しめたようだ。
「このデビュー戦を無事に終えることができて良かった。シーズン途中の移籍は初の経験だし、この96時間は本当にドタバタで眠る時間もほとんどなく、まだ荷物をまとめているところなんだ。でも、正しいプレーをするよう心掛けた。このチームにいることに興奮しているし、この調子で物事を進めていきたい」とカイリーは言う。
チームに合流したのはこの前日で、練習に少し顔を出した程度。そして試合当日のシュートアラウンドに参加しただけの『ぶっつけ本番』だったが、カイリーはイキイキとプレーした。その秘訣を「チームとして無理に僕にボールを預けないよう意識して、自然なバスケをやったんだ」と語る。
「僕は新しいチームメートに、オフボールでもプレーできるし、カットもできると伝えた。僕が何かをするのではなく、他の選手たちが僕にチャンスを作り、ダブルチームを受けた時にどうすべきか考えてプレーしてくれた。チームメートもコーチ陣も、僕がプレッシャーを感じないよう心掛けてくれた」
そして、彼がデビュー戦を終えて会見を行うというタイミングで、盟友であるケビン・デュラントのサンズ移籍の一報が飛び込んできた。カイリーは笑みを浮かべながら「KD(デュラント)の幸せと成功を祈るばかりだよ」と言い、率直な思いを語った。
「この1年、僕らは自分たちの未来についてたくさん会話をした。一緒であれ別々であれ、お互いが良い環境にいるべきだと話していたんだ。僕の決断に彼が怒ったり、彼に僕が怒ったりしたことは一度もない」
ネッツで優勝を目指した2人は、マブスとサンズに分かれた。どちらも西カンファレンスのライバルで、しかも30勝26敗で並んでいる。これからレギュラーシーズンで、そしてプレーオフで戦うことになるが「僕は競争が大好きだから、サンズとたくさん対戦があるのは歓迎だ。彼と戦うのが今から楽しみだよ。今はただ、彼が移籍できて良かったと思う」とワクワクした気持ちを語った。
未完に終わったネッツでの挑戦についても、カイリーはこう語っている。「僕とジェームズ(ハーデン)、KDのスーパーチームはもっと上手くいくはずだった。ケガやその他の問題があって一緒にプレーできたのはごく限られた時間で、ちゃんと機能したらどうなるのか見てみたかった。でも、僕らは前に進まなきゃいけない。この旅を振り返ってブルックリンの仲間と出会えたこと、多くのことを学べたと言えるのは幸せなことだ」
次は現地10日、敵地でのキングス戦。この時にはトレード期間が終了していて試合に集中できる。かかとを痛めているドンチッチも復帰する予定で、カイリーとのデュオが見られそうだ。カイリーは言う。「背番号77の選手(ドンチッチ)が戻って来たら、もっと良いバスケができる。楽しみだよ」