キャム・トーマス

「試合終盤まで自分にプレーの決断をさせてくれたみんなに感謝している」

現在のネッツは大黒柱ケビン・デュラントが故障離脱している中、カイリー・アービングの突然のトレード要求、マーベリックスへの移籍とコート外で慌ただしい日々を送っている。トラブルメーカーのカイリーが加入した2019年から、ジェームズ・ハーデンとベン・シモンズの大型トレードなど、話題に事欠かないネッツだが、選手からすれば目の前の試合に集中するのが困難な状況であると言える。

デュラントの欠場に加え、カイリーとの交換で加入するスペンサー・ディンウィディー、ドリアン・フィニー・スミスも合流前と駒不足のネッツだが、クリッパーズを相手に116-124で敗れたとはいえ、残り1分で2点差に詰め寄るなど激闘を演じた。

もちろん敗れたことへの悔しさはある。それでもネッツの指揮官ジャック・ボーンは「プレーする準備ができていた我々のグループを称賛するべきだ」と、最後まで難敵相手に食い下がった選手たちを称えた。「このメンバーで試合に勝てるという信念は、見ていて気持ちが良いものだった。私たちの全体的な努力、エネルギーやコミュニケーションは試合を通して素晴らしいモノだった」

苦境に陥った時こそチームの底力が試されるが、チャンスを与えられた若手がステップアップしているのは明るい材料だ。特にキャム・トーマスは、現地4日のウィザーズ戦(125-123で勝利)の44得点に続き、この試合でも3ポイントシュートを11本中7本成功させ47得点と大暴れだった。

横須賀出身である21歳のトーマスは、2021年ドラフト全体27位指名でネッツに入団。昨シーズンは67試合に出場し平均17.6分のプレータイムで平均8.5得点、2.4リバウンド、1.2アシストを記録した。今シーズンも前日までの時点で35試合に出場し、平均14.5分、8.4得点、1.4リバウンド、1.4アシストを記録と平均的なロールプレーヤーだった。しかし、この2日間は平均を大きく上回る大活躍を見せ、レブロン・ジェームズに次ぐNBA史上2番目の若さで2試合連続40得点以上を挙げた。

一躍、時の人となったトーマスは、自身のパフォーマンスをこのように語る。「序盤からホットだった。今回も40得点になるか分かっていなかったけど、再び素晴らしい試合になるとは思っていた。僕を信じて、試合終盤まで自分にプレーの決断をさせてくれたみんなに感謝している」

カイリーの移籍は特にオフェンス面でマイナスの影響をもたらしたが、それと同時にトーマスのような新星も現れた。ディンウィディー、フィニー・スミスが加わり、トーマスなどの若手も台頭してデュラントが復帰すれば、ネッツは引き続き東カンファレンスの優勝候補であり続けられるはずだ。