フィッシャーヘッドコーチ「フィジカル、タフネス、力強さの部分で戦えたと思います」
大阪エヴェッサは2月4日、アウェーに乗り込んでアルバルク東京と激突。持ち味である粘り強いディフェンスで見せ場を作ったが、A東京の底力に屈し66-74で敗れた。
試合の立ち上がりで大阪はA東京の激しいプレッシャーに圧倒され、ボールムーブに欠ける単発のオフェンスを繰り返すことで6-21と大きく出遅れてしまう。だが、ここからセカンドユニットの奮闘によって盛り返して流れを変えると、第3クォーター早々に39-39と追いついた。だが直後にA東京の安藤周人に連続得点を許して引き離されると、それ以降は再びとらえることはできず。オフェンスリバウンドで13-11と上回りながらセカンドチャンスポイントで8-19と大差をつけられたように、ゴール下での劣勢を跳ね返すことができなかった。
大阪のマティアス・フィッシャーヘッドコーチは、「かなり魅力的な面白い試合ができたと思います」と手応えを語ると共に敗因をこのように見ている。「両チームともディフェンスに焦点を当てた試合となりました。満足できている部分もありますし、フィジカル、タフネス、力強さの部分では戦えたと思いますが、簡単なシュートを外しすぎました。ボールムーブは良かったですが、オープンなシュートを決めきれなかった。このような接戦では確実に決めていかないといけないです。そしてスタートが悪すぎました。明日はしっかり最初の1分からウチのバスケットで臨みたいと思います」
大きく出遅れた大阪が、途中で盛り返すことができたのはセカンドユニットの貢献があったからこそ。オフェンス面では木下誠がタフショットを決め、ディフェンス面では橋本拓哉のエナジー溢れるパフォーマンスが光った。
12月以降はわずか1敗しかしていないA東京を相手に一旦は大きなビハインドを追いつくなど拮抗した戦いに持ち込んだ大阪だが、橋本は冷静に試合を振り返っている。「点差以上に大きく離されたゲーム展開だったと思います。特にセカンドチャンスで19得点を取られたのが痛手で、個人としてはもっとシュートアテンプトを増やして貢献できるように頑張ります」
「ウチはディフェンスのチームでもあるので、そこは意識してコートに入っています」
本人も言及したようにこの試合、橋本はフィールドゴール3本中1本成功の3得点と攻撃面では消化不良に終わった。数年前の橋本といえば抜群の身体能力を生かしたドライブと3ポイントシュートのコンビネーションによる得点力でリーグ随一の日本人シックスマンとして活躍。特に2021-22シーズンは、40試合出場で3ポイントシュートを43%の高確率で沈め、1試合平均13得点以上を挙げる大暴れだった。
だが、このシーズンの終盤に右アキレス腱断裂の大ケガを負って無念の離脱。さらに悪夢は続き昨シーズン11月、復帰直前まで回復したところで再び同じ箇所を断裂し、シーズン全休となってしまった。2度の大ケガを乗り越えて今シーズン復帰を果たした橋本は、ここまで35試合出場と離脱をせずコートに立ち続けているが、1試合平均6.6得点に留まり、21-22シーズンと比べるとシュートアテンプトも約4本少なくなっている。
これには「ヘッドコーチも変わって、前は僕がメインでシュートを打っていましたが、今はそうではないです」という戦術面の変更に加え、心身ともに故障から復帰途中であることも影響している。「ケガの影響はあります。前のパフォーマンスを出せと言われたら、今のままでは厳しいです。ウォームアップの時から正直に言うと怖いです。この恐怖心だけはまだ取れないです。そういった部分がパフォーマンスに影響しているのだと思います」
こう率直な思いを明かしてくれた橋本だが、「コーチにはディフエンスについて評価してもらっています。うちはディフェンスのチームでもあるので、そこは意識していつもコートに入っています」と語るように、これまでと違う形でチームにしっかり貢献している。
フィッシャーヘッドコーチの下、今の大阪はよりディフェンスから流れを作るチームへと変化した。だからこそ橋本は、今日リベンジを果たすための鍵を語る。「ウチは勝っている時はすごくディフェンスが良いです。そしてアルバルクさんに勝つには、40分間ハードなディフェンスを続けていかないといけないです」
橋本が強調するように、まずは粘り強いディフェンスを継続することが勝利の絶対条件となるが、その上でここ一番での連続得点などオフェンス面における爆発力も難敵撃破には必要だ。橋本はその働きができる力を持っている。言うまでもなく簡単なことではないが、いずれ彼が恐怖心を払拭し、少しでも心身ともにフルスロットルでプレーできる日が来ることを期待したい。