カイル・コーバー

写真=Getty Images

ミッチェルも称賛「シュートを打つ自信を与えてくれる」

ジャズがキャバリアーズからカイル・コーバーを獲得した主な理由の一つは、3ポイントシュート成功率の改善だった。だがキャリア16年目のコーバーは、アウトサイドからの得点以外にも多くのものをチームにもたらすことができる。11月30日に敵地で行なわれたホーネッツ戦に出場したコーバーは、それを証明してみせた。

第1クォーター残り4分54秒にコートに入ったコーバーは、その12秒後、ルディ・ゴベアからのパスを受け、スクリーン越しに左ウィングから3ポイントシュートを鮮やかに成功させた。コーバーが入るまでは5本中1本しか3ポイントシュートを決められていなかったジャズだったが、ベテランのシュート成功から第1クォーター終了までに5本の3ポイントシュートを放ち、その内の3本を決めた。シュートは、1本の成功をきっかけにチーム全体のリズムが改善されることがある。コーバーのシュートは、まさしくその類のものだった。

開幕から3ポイントシュート成功率でリーグ下位に低迷していたジャズだったが、オープンな状態で打つ段階までのプレーはできていた。ただ、チームにシュートのリズムを与えられる選手がいなかったのだ。ゲームハイの30得点を記録したドノバン・ミッチェルも、コーバーの影響力を称賛する一人で、試合後には「シュートを打つ自信を与えてくれる」と語った。

コーバーは、2007年から10年まで所属したジャズでの『再デビュー戦』で、6本中4本の3ポイントシュート成功を含む14得点をベンチからマークし、119-111での勝利に貢献。試合後には「最初のシュートを決めらたのは良かった。新しい環境では、まぁ新しいわけではないのだろうけれど、正しいプレーをしたいからね」と、話した。

まだ1試合だけだが、今後はコーバーとゴベアの連携もジャズにとって大きな武器になり得る。

ゴベアがボールを持つタイミングに合わせて左コーナーに走って向かったコーバーに、一旦ボールを預けたゴベア。そのゴベアのマークについていたマイケル・キッド・ギルクリストが一瞬コーバーに意識を向けた刹那、コーナーからのパスを受けたゴベアの前には十分なスペースが生まれ、難なくレイアップをねじ込んだ。これは一例だが、リーグ屈指のスクリーナーであるゴベアに意識を向ければコーバーがフリーになり、コーバーの3ポイントシュートを警戒し過ぎれば、ペイント内に侵入するゴベアを止めなければならなくなる。ゴベアは試合後「オートマティックなプレー」と、コーバーとの連携を形容した。「自分は彼をオープンな状態にするために、可能な限り最高のスクリーンを張る。見ていても楽しいし、その一部としてプレーするのも楽しい。彼をオープンにして、自分はリムに向かう。僕をマークする選手は、その時点でどちらにつくかを決めないといけないからね」

なかなか波に乗れていなかったジャズだが、コーバーが1試合目から歯車となって機能したことは大きい。12月は、同じ西カンファレンスのチームとの対戦が多く組まれており、プレーオフ進出にはここを乗り切る必要がある。たった1本のシュートで流れを変えられるコーバー効果の程は、果たして如何ばかりか。