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「チームが結果を出さなければダメ」という主張

昨シーズンのプレーオフ、西カンファレンスの1回戦でサンダーと対戦し、第5戦で敗退が決まったマブス。NBAファンにはお馴染みのチームオーナー、マーク・キューバンは、104-118でサンダーに敗れる直前、ラッセル・ウェストブルックについて、「彼は『スーパースター』ではない」と発言して話題となった。

当時はトラッシュトーク、マブスを有利に持っていくための駆け引きと受け止められたが、キューバンは今もその持論を曲げていない。

『ESPN』の取材中、キューバンは「真のスーパースターは、中程度の選手層しかないチームを年間50勝に導き、プレーオフのシリーズでも勝ち上がらせるだけの力を持つ選手のこと」との持論を展開し、ウェストブルックについて否定的な見解を語った。

「彼が成し遂げていることは認める。ラッセルの力を軽視しているわけでも、彼に対する尊敬を欠いているわけでもないよ。しかし、スーパースター級の数字を残しているだけで、今シーズン中に彼が『真のスーパースター』になることはない」

24試合を終えて平均トリプル・ダブル(31.1得点、10.9リバウンド、11.0アシスト)を記録しているウェストブルックが『スーパースター』とは的外れに聞こえるが、要するに、キューバンはサンダーがレギュラーシーズンで50勝に到達できず、仮にプレーオフに進出したとしてもファーストラウンドから先に進むことはないと確信している、ということだ。

現在15勝9敗のサンダーは、今のペースでレギュラーシーズンを消化すれば、年間50勝は不可能ではない。仮にキューバンの自論が適用されるとなると、レイカーズの生ける伝説であるコービー・ブライアントも『真のスーパースター』ではない時期があったことになる。

シャキール・オニールが退団した2004年からパウ・ガソルが加入した2008年までの間、ブライアント一強体制となったレイカーズは2004-05シーズンに34勝、05-06シーズンに45勝、06-07シーズンに42勝しかできず、プレーオフでもファーストラウンドという壁を突破できなかった。

西カンファレンスには、ステファン・カリーとケビン・デュラントのウォリアーズ、ジェームズ・ハーデンのロケッツ、クリス・ポールが司令塔を務めるクリッパーズのように、『スーパースター』を抱えているチームが多い。ロスターを見比べても、今シーズンのサンダーではカンファレンス準決勝に勝ち進むのは難しいかもしれないが、短期決戦はシリーズの勢いを掴んだチームが有利となるのが常。今後レギュラーシーズン後半、終盤にかけてさらにギアを上げるウェストブルックなら、一人の力で上位陣を相手にアップセットをやってのけられるだけの力を持っている。

そうなれば、いよいよキューバンもウェストブルックを『スーパースター』と認めざるを得なくなる。キューバンvsウェストブルックというコート外の対立構図も、これからのサンダーを取り巻く興味深い要素となりそうだ。

2011年に優勝したマブスのオーナーであり、熱狂的なファンとして知られるキューバン。