古川孝敏

文・写真=鈴木栄一

「後半は0-0から始まる気持ちで行こうと話した」

11月30日、日本代表はワールドカップアジア予選Window5のカタール戦に85-47と圧勝した。八村塁、渡邊雄太という2大エースが参加できないこともあって、過去4試合の予選では出番が皆無だった選手たちにも出場機会があり、それぞれが自分の役割を遂行したことも勝因となった。

古川孝敏もその一人。Windows3では2試合で計3分の出場。Windows4ではメンバー外となっていたが、この試合では15分の出場で8得点3リバウンドをマーク。3ポイントシュートは5本中1本成功と不発に終わったが、持ち味であるタフな守備は披露した。

「前半かなり重い展開でリードされてしまいましたが、後半しっかりしたディフェンスから走ることができました。相手が速い展開に対して脆さを見せたところで、自分たちがアタックし続けたことが勝利に繋がったと思います」

このように試合を振り返る古川は、1点リードを許して前半を終えた後、第3クォーターで30−8と大きく突き放せた要因をこう語る。「前半は少し様子見になってしまって、相手のオフェンスに構えてしまっていました。それを踏まえて後半は0-0から始まる気持ちで行こうと全員で話していました。やっぱり自分たちがどうやって戦いに行くか、ハーフタイムで見直せたというところが一つのポイントになりました」

古川孝敏

「出来に満足はしていません」とカザフ戦に意気込み

古川自身について言えば、前回は選出漏れとなった12名の最終メンバーに戻ったことに「12人の中で一緒に戦える、日本を背負えるのは自分の中ですごく大きなことでうれしいです」と素直に喜びを語る。

しかし、それと同時に強調するのは、12名のメンバー入りで達成感を得てはいないということだ。「そこで満足はしたくないですし、止まることはないです。試合でどうパフォーマンスを出していけるか、どうチームにエナジーを与えていけるか考えています」

だからこそパフォーマンスについては、「久しぶりに試合には出ましたけど、もっと自分の良さを出していかなければと思います」と自己採点は厳しい。「オフェンスというより、まずディフェンスはしっかりやろうという意識でした。ただ、3ポイントシュートは多く打った中で、1本しか決めることができなかったですし、もう少し決めていきたい。また、シュートが入る、入らないというだけではないですし、出来に満足はしていません」

富樫勇樹が負傷によって月曜日のカザフスタンに出場できるかが不透明な状況、それによって田中大貴のポイントガード起用が増えるとなれば、本来なら田中がプレーすべき2番のところに古川が入ることになる。

「今日の試合について、悪く引きずる必要はないと思います。次の試合に向けてどう持っていくかがすごく大事。勝つのが絶対なので、そのために12人全員で準備していきたいと思います」とカザフスタン戦への意気込みを語る古川。そのタフなディフェンスに加え、今度は3ポイントシュートも沈めることでAKATSUKI FIVEに勢いをもたらすことを大いに期待したい。