フリースローと勝負どころでビッグショットを沈めたユトフの決定力が勝因に

1月28日、京都ハンナリーズがアウェーに乗り込んで横浜ビー・コルセアーズと対戦。ともに譲らず試合終盤までもつれる激闘となったが、最後まで集中力を切らさず我慢を続け、要所でタフショットを沈めた京都が決定力で上回り80-76で競り勝った。

試合の出だし、京都は横浜BCの河村勇輝を軸としたテンポの早いオフェンスを止められず4-12と先制パンチを食らってしまう。アーリーオフェンスからオープンシュートと良い形を作るも、外角シュートの精度を欠いたことで劣勢が続き一時は2桁のリードを許した京都だが、この嫌な流れを脳震盪による長期離脱から実に10月15日以来の復帰を果たしたティージェー・ロールが変える。「彼のファイティングスピリットはチームを良くしてくれます。戦うエナジーをもたらしてくれ、とても大きなインパクトを残してくれました」と指揮官のロイ・ラナが称賛するように、ロールの攻守に渡るアグレッシブなプレーで息を吹き返した京都は終盤に追い上げ6点ビハインドで最初の10分間を終える。

第2クォーターには、横浜BCのセカンドユニットに確率良く3ポイントシュートを決められ19-33と再び突き放された京都だが、質の高いチームオフェンスでゴール下にスペースを作り出すと、ビッグマンのシェック・ディアロがこのクォーターだけで13得点と高確率でシュートを沈め、互角の展開に持ち込んでハーフタイムを迎えた。

後半に入るとお互いにトランジションが出るなど、一進一退が続く白熱の展開となるが、京都は第3クォーター終盤に久保田義章が非凡な個人技で連続得点を挙げて抜け出す。これで勢いに乗った京都は、第4クォーター序盤にも相手のターンオーバーを奪ってからのトランジションで小西聖也が3ポイントシュートを決めるなど理想的な流れでリードを2桁に広げる。その後、横浜BCも中地区上位の底力を発揮し、キング開、赤穂雷太ら若手の奮闘で残り47秒には2点にまで肉薄される。

しかし、京都はラナヘッドコーチが「フリースロー(京都12得点、横浜6得点)と(ジェロード)ユトフ選手が試合終盤にビッグショットを決めたのが差になったと思います」と振り返るように、要所でシュートを決めていたユトフが直後のポゼッションでもレイアップを決め返して粘る横浜BCを振り切った。

「一番はポイントガードとしてチームを勝たせられる選手になりたいです」

この試合、ユトフに匹敵する貢献度の高さを見せたのが司令塔の久保田で15得点7アシスト3リバウンドを記録した。特に、第3クォーター終盤から第4クォーター序盤にかけて、ビッグマンとの1対1ではスピードのミスマッチを生かして外から射抜くと、日本人ガード相手にはコンタクトの強さを生かしたドライブで押し込んでからのストップ・アンド・シュートをねじ込む高い得点力で試合の流れを京都に引き寄せた。

「自分たちがやりたいことをやれない状況でも最後まで我慢し、全員がしっかりとエナジーを持ってタフに戦ったことが勝利に繋がったと思います」と勝因を語る久保田は、自身の連続得点の場面についてこう続ける。

「勝負どころでこそ積極的にアタックすることをロイヘッドコーチからも言われているので、そこは毎試合心がけています。(外国籍ビッグマンとの1対1は) スピードで負けないと思うのでアタックしています。それで得点を取れますし、他のディフェンスが寄ってくればパスをさばいてアシストもできます」

今シーズン、久保田は開幕から不動の先発ポイントガードを務めると、ここまで平均11.4得点、6.5アシストとリーグ有数のパフォーマンスを見せている。これで5試合連続2桁得点と個で打開する力が目立つが、ラナヘッドコーチはそれ以外の部分も高く評価する。「(フィールドゴール16本中6本成功)シュート確率は良くなくても、素晴らしいゲームコントロールでした。彼がボールを持つとオフェンスはとても安定していました。良い判断をして、良いシュートを打ってくれています」

これで京都は今シーズン13勝目(20敗)と、シーズンの約半分を終えた段階で昨シーズン(14勝43敗)とほぼ同じ勝ち星を挙げている。久保田はチームのステップアップの大きな原動力となっているが、さらなる進化に貪欲だ。「手応え的にはなくて、もっとできると自信を持っています。荒削りな部分を修正して、良いところももっと伸ばしたい。一番はポイントガードとしてチームを勝たせられる選手になりたいです」

また、「経験を積み重ねていることと、日頃からずっとたくさんのアドバイスをもらっていることが自分の力になっています。素晴らしいヘッドコーチの下、もっと自信をつけて成長していきたいです」と、久保田が絶大な信頼を寄せるラナヘッドコーチも愛弟子のさらなるステップアップに自信を見せる。

「彼は若く、ここまでボールを持って多くの責任を担うのは今シーズンが初めてとなります。メディアに取り上げられる機会は少ないかもしれないですが、彼は良い選手で着実に成長しています」

取材の最後、久保田は「まだまだ上に登っていけます」と力強く語った。彼のステップアップは、京都がさらに手強い相手になることと直結する。ロールも復帰してメンバーが揃った京都が後半戦どんな戦いを見せてくれるのか、ワクワク感が増す今日の勝利だった。